ちょっとした後悔と不安
「はぁ、はぁ…………、はぁ………………」
さっき、銀髪の女の子がいた場所。その女の子と、どことなく雰囲気の似ている少女が、その場所に姿を出した。髪色は、金色でウェーブしている。
……もぅ……。
少し、後悔する。一緒に家を出れば良かったと。何故か。おそらく、迷っているだろうから。
同じように、案内を受けていた。けど、金髪から見て銀髪は、まともに話を聞いているようには見えなかった。
……まぁ、それはいつものことなんですけど……。
だから、こうして後を追いかけて来ている。
勿論、この場所に足を運んだということは、勉強をしにきたということだろう。そうなれば、目的地はすぐに分かる。
その近くまで来ているのだが、銀髪の姿は見当たらない。
……はぁ……。
「仕方ないですねぇ……」
そんな頃、護の家の近く、薫の家の近くにある図書館に、二人の女の子の姿があった。
薫と心愛だ。
薫は、きちんとノートに目を向けて勉強をしているようだ。それと反して、心愛は、その自身のツインテールをシャープペンシルでクルクルと絡めている。
「心愛、集中しなさいよ」
図書館であるということを考慮して、薫は、小さく声を作る。
「分かってる分かってる。けど………………」
「けど……? 」
「ヤル気でない……。護もいないし…………」
「仕方ないじゃない。何か、用事ありそうだったし……」
「ありそうだった……? ちゃんとは聞いてなかったの? 」
「う、うん。そうだけど…………」
「はぁ………………」
心愛は、はぁっとため息をついた。
「な、何よ…………? 」
「あるかどうか分からないのだったら、聞かないと」
「分かってたんだけど…………」
「そんなんだったら、一番になれないよぉ? 」
「……………………」
「メールしてみる……? 」
「そ、それはどうなのかな……」
薫は、少し渋っている。
「じゃ、葵にメールする? 」
「護の代わりに……? 」
「そうそう。勉強なら、護より葵の方が出来るわけだし」
「葵にも用があったらどうするの? 」
「それはその時でしょ? 今は分からないわけだしさ」
それに話変わるけど、と、心愛は、言葉を続けようとする。
「明日七夕……だよね」
「あ…………、そっか」
「前に聞いたような気がするんだけど、七夕の日は、護と一緒にいたんじゃないの? 」
「そう…………だね」
「もち、今年もでしょ? 」
「どう…………、かな……。そうしたいけどね…………」
「どうしたの? 薫にしては歯切れ悪いけど………………」
「ちょっとばかり……、不安かな…………って………………」