↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

緑の河童


 河童を見ました。


 その子は水面上に、目から上だけを出して、私を橋の下から見ていました。私は恐くて奇妙で、好奇心を奮い立てられました。ずっと見ていました。

 夕方、あたりは真っ赤に染まり、河童は緑。水面は夕日の赤を反射し、水面下の仄暗い黒を湧き出し、赤黒く染まっていました。


 その中にポツンと緑。


 まだ目を離しません。私はいつの間にか橋の端に進んでいました。身を乗り出し、眺めました。赤い赤い橋の手すりに手を置き、全体重を乗せ、覗き込みました。河童は動きません。緑のままです。血走った目だけがこちらを向いたままでした。その時、私は何を思ったのか、前のめりに倒れこみました。自分の意志で、身を乗り出しました。そして、そのまま、頭から落ちていきました。ザパンっと音が鳴り、水中で一回転して目を開け、そして凝らし、前を見ました。

 その瞬間、私の肺から空気が一気に溢れ出て上に登り、水面上の空気と混ざり合いました。


 私は見ました。


 目の前に緑。

 血走った目。

 私が橋の上から見た河童がそこにいました。河童には目から下がありませんでした。顎も、首も体もありませんでした。目と鼻の間を鋭い綺麗な刃物で切られ、鼻より上だけが離された状態で……まさに水面に出ていた目から上だけの状態で、そこにいました。


 赤黒く染まった水中に明らかに違う鮮明な赤が広がっていました。その赤はまるで水の中に広がる墨汁のように、異端な存在でした。すぐに、どこからその赤が出ているのかわかりました。河童の、目の下からでした。スパンっと綺麗に切れた切断面から赤い物が流れていました。

 河童の目を再度見ました。まだ私を凝視していました。血走った暗い灰色の白目が怖かったです。私はすぐに目を閉じ、水面に顔を出し、川岸に上がりました。急いで、一目散に橋の上に這い登り、また下を見ました。

 河童はいました。

 水中にいた河童の顔は水面上に出ていて、やはり、私を凝視していました。そこでふと気づいたことがあります。

 ここの川は水深が私の膝ぐらいの深さなのです。水中で一回転した私は……?私はくるりと踵を返し、橋を渡りきろうと橋の上を見ました。


 そこには、居ました。


 河童は血走った目だけで私を見ていました。

 緑でした。

 夕日は沈みかけていて辺りは薄暗く、藍色と灰色でした。


 そんな中、緑でした。



高校生時代の夢日記。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。