099、総領主としての義務
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北部の北端、湖から少し離れた丘の上に立つ城のような建物が目に入る。
チェルシーが歩みを進めると、広場で体格のよい男性が手を振って迎えてきた。
「おや、旅人さん。ようこそジャヤ北部へ!」
男性は笑顔で手を差し出す。堂々とした姿だが、気さくな雰囲気を漂わせている。
「私はストロール、この国の総領主だ。どうだい、ちょっと休憩がてら話でもしないか?」
チェルシーは軽くお辞儀をし、微笑み返す。
「はじめまして、チェルシーです。ご案内いただけるなんて光栄です」
ストロールはうなずき、湖を背景にしたベンチへとチェルシーを誘う。
「ところで、この国の歴史に興味はあるかな?」
「はい、ぜひ聞かせてください」
チェルシーは楽しげに頷く。
ストロールはゆったりと座り、穏やかに語り始める。
「ジャヤの国は、もともとこの豊かな大地に人々が集まり、農業を発展させてきた歴史がある。北の湖を中心に水路を整え、各地に田畑や果樹園を築いていったんだ」
「水路や畑はただの作物のためではない。豊穣の神に感謝を捧げ、恵みを受けるための祈りと共に作られたものなんだよ」
チェルシーは真剣に聞き入り、時折頷く。
「私が総領主に選ばれたのも、こうして国の発展を守り、国交の中心として国民と世界を結ぶためだ」
ストロールの瞳には誇りと温かさが宿っていた。
話を聞き終えたチェルシーは、感謝の言葉を告げる。
「なるほど…国民の暮らしや文化が、こうして長い歴史の中で紡がれてきたのですね」
丘を下り、湖畔近くの宿屋に戻ったチェルシーは、暖かな夕陽を背に床に腰を下ろす。
ペンを手に取り、今日一日の出来事を日記に書き綴る。
総領主さんと出会い、今まであったことを日記にしたためる。
こうして、チェルシーの日記の最初の章、ジャヤでの記録が完成したのであった。




