088、受け継がれる伝承
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静かな書斎。机の上には古びた羊皮紙や断片的な記録が散らばっていた。
クレウスは眼鏡を押し上げ、慎重に文字を追いながら、過去の断片を拾い集めていく。
「……ここか、ここがシャーの幼少期か」
指でページをなぞるたび、原始の森で小さな少女が言葉を覚えた瞬間の光景が頭の中に浮かぶ。
彼はペンを取り、新しい本に筆を走らせる。
断片をつなぎ、欠けている部分を想像で補いながら、過去の記録を生き生きとした物語として蘇らせる。
幼少期、胸を指さし「シャー、シャー」と言った瞬間。
部族の人々がぎこちなく言葉を真似し、初めての宴で笑い声が響いたこと。
言葉が広がり、別の部族が合流し、集落が狩りを生業とする村に成長したこと。
すべてのエピソードが、クレウスの手によってひとつの流れとして整理され、新しい本に収められていく。
ページをめくるごとに、過去の原始の森や村、少女シャーの姿が目の前に現れるようだった。
編纂を終えたクレウスは、そっと眼鏡を外す。
机の上には、薄くて手触りの柔らかい新しい本が静かに横たわっている。
その表紙を指先でなぞりながら、彼は静かに思う。
「これが……シャーの物語か」
過去と現在がひとつになった本は、ただの記録ではなく、文化の芽生えと人々の営みを伝える生きた証となっていた。
彼は資料からシャーの物語を編纂しました。この物語は後世へと伝わっていきます。
この国の歴史の1ページですね。




