029、いくさ、そのはて
AI制作
草原に朝霧が残る。
風が乾いた土の匂いを運ぶ。兵たちは隊列を組み、鉄の矢が揺れる弓の先に整列する。
リシャビエルは先頭に立った。
視界の端、数十歩先に石槍を持った影。
か細く、しかし確かに存在する。
「前進。包囲は崩さず、退路を断つ」
低く指示を出す。
声は冷静だ。命令は即座に伝わる。
アフェットが隣で頷く。
鋭い目は草むらの動きに張り付いている。
最初の接触は静かだった。
矢が飛ぶ。
先住民は石槍を構え、叫び声を上げる。
届かぬ槍が鉄の盾に弾かれるたび、リシャビエルは計算を進める。
「数を把握。動きの幅を制限。撤退路なし」
兵たちは押し出すように前進する。
小規模の散発戦。
だが恐怖が先住民を制圧する。
彼らは技術の差を理解できないまま、草むらの中で後退する。
中盤、分断が始まる。
フィフィとメルクリアが狩猟感覚で追撃の先導をする。
罠を設置し、逃げ道を限定する。
鉄の矢と弓で追い詰める。
誰も間合いに入ることなく制圧できる。
シュルムントは剣を握る手が震える。
まだ動きも遅く、恐怖を隠せない。
だがリシャビエルの視線により、前進を強いられる。
ここでの失敗は即、致命的になる。
戦闘はあっという間に終わる。
石槍は散乱し、草むらに倒れた痕跡だけが残る。
生き残りを見つけても、すぐに包囲され、降伏の余地はない。
鉄と組織の圧倒が、圧力となって土地を覆った。
リシャビエルは地面を見渡す。
血の匂い。破れた衣服。
兵たちは疲労を見せるが、戦果に迷いはない。
「全滅。撤収と整理を開始」
報告を短く、正確に。
王に伝えるのは、計画通りの結果だ。
戦後、空は広く、静まり返る。
草原にはもはや生活の気配はない。
ただ、鉄の矢と石槍が散らばった跡だけが、ここにかつて人がいたことを物語る。
リシャビエルは剣の柄に手を置く。
そして小さく息を吐いた。
「……この地は、我々のものだ」
しかしその言葉の裏に、わずかな違和感が残る。
目に見えぬ痕跡、消えた命の重さ。
それでも命令は変わらない。
王の決断が、戦いの幕を完全に開いたのだ。
戦いが始まった。だが一方的ではある。
先住民は全滅。ここに彼らの土地が生まれた。




