表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラスティア群像劇~第1章~  作者: niseimo38
第1章~そこで暮らす者たち~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/206

028、王の決断、戦いの幕開け

AI制作

天幕の中は、外よりも暗い。


厚い布が光を遮り、中央の卓の上に置かれた油灯だけが揺れている。

地図が広げられていた。まだ空白の多い、大陸西内陸部。


フェルナンドは立ったままそれを見下ろしている。


鎧は外しているが、剣は腰にある。

王というより、まだ“先頭に立つ者”の姿だ。


リシャビエルは一歩進み、片膝をつく。


「報告します」


「聞こう」


声は低いが、急かす響きはない。

戦況ではなく、“状況”を聞く時の声だ。


「西方草原地帯にて、人型集団を確認」


フェルナンドの指が地図の一点で止まる。


「規模は」


「視認は六。逃走した数を含め、推定二十前後」


「武装」


「石製槍。衣服は獣皮のみ。金属装備なし。弓の確認もなし」


「マナ反応は」


「感知なし。扱えない可能性が高い」


天幕の中の空気が、わずかに重くなる。


それは脅威の重さではない。

結論の重さだ。


フェルナンドはしばらく黙っていた。


やがて問う。


「交戦したか」


「向こうが投擲。こちらが弓で応戦。一名確認撃破。こちらの損害なし」


王は目を閉じる。


短い呼吸。


それは悲嘆ではない。

計算の間だ。


「……生存に必要な土地だ」


独り言のように言う。


「水場があり、獣道があり、土壌も悪くない。冬を越えるには最適だ」


リシャビエルは答えない。


それはすでに皆が理解している事実だった。


ここを手放せば、民の一部は冬を越せない。


「共存は可能か」


静かな問い。


リシャビエルはわずかに視線を上げた。


「技術差が大きすぎます」


事実だけを並べる。


「彼らは我々を理解できない。恐怖は敵意に変わるでしょう。

 小競り合いは続き、消耗が増えます」


一拍。


「そして数十年後、我々の子が同じ問題に直面します」


天幕の外で、子どもの笑い声が一瞬聞こえた。


フェルナンドの視線が布越しにそちらへ向く。


「……この百人を生かすのが王の務めだ」


その言葉に、装飾はない。


正義も、悪も、入っていない。


責任だけがある。


「掃討する」


決定は短い。


だが、その短さが重い。


「規模、武装、地形を把握し、損耗を最小に抑えろ」


「は」


「苦しませるな」


その一言だけが、わずかに人間の声だった。


リシャビエルは頭を垂れる。


命令は妥当。

判断は合理的。


だが天幕を出る直前、王の声がもう一度届く。


「リシャビエル」


「は」


「……最初に彼らを見た時、どう思った」


予想外の問い。


一瞬だけ、草原の光景がよみがえる。


石槍。

恐怖の目。

鉄を知らない手。


「……脅威ではありませんでした」


正直な答え。


「だが、“ここで生きている者”だと感じました」


沈黙。


フェルナンドはうなずく。


「なら覚えておけ」


声は低い。


「我々が奪うのは土地だけではない」


外へ出ると、空は広い。


兵たちはまだ知らない。

今、彼らの“戦い”が始まったことを。


リシャビエルは空を見上げた。


ここはもう空白ではない。


だが間もなく、

地図の上では空白になる。


王は、侵略を容認しました。これで、先住民は窮地に立ちます。

でも、王たちにとっても生きるための選択。この葛藤はのちにどのように影響するのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ