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ラスティア群像劇~第1章~  作者: niseimo38
第1章~そこで暮らす者たち~

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027、流れる者、侵略の始まり

AI制作

草が深い。


腰の高さまで伸びた灰緑の草が、風に撫でられて波打っている。

見通しが悪い。伏兵を置くなら最適な地形だ。


リシャビエルは歩みを緩めなかった。


背後では鉄具の擦れる音が規則正しく鳴っている。

彼の隊だ。二十名。

狩猟班の探索範囲を広げた結果、未確認の人影があったという報告を受けての前進だった。


「獣ではなかったんだな」


横に並ぶアフェットが低く答える。


「二足歩行。道具らしきものを所持。衣類は獣皮のみ」


人間か、とリシャビエルは思う。


だが「人間」という言葉の中に、すでに線が引かれていた。


空気が違う。


ここには“手が入っていない”。


踏み固められた道も、伐採跡も、焚き火の灰も見当たらない。

人の匂いが、生活の形を作っていない。


「…いた」


前方、草の切れ目。


二人。


痩せた体。

裸足。

手には石の穂先を縛り付けた槍。


目が合った。


その瞬間、リシャビエルは理解した。


彼らは“警戒”ではなく“恐怖”の目をしている。


つまり、こちらの装備を見ている。


鉄の兜。

胸当て。

刃の光る剣。


彼らはそれを知らない。


一人が叫んだ。


言葉ではない。音だ。

合図か、悲鳴か、その両方か。


後方の草がざわつく。


さらに三人、四人。

石槍を構えた人影が現れる。


包囲ではない。

寄り集まっているだけだ。統率も陣形もない。


「……部族か」


リシャビエルは小さく吐いた。


これは戦ではない。

“接触”だ。


だが、接触はいつも同じ終わり方をする。


石槍が投げられた。


届かない。

間合いを知らない。


一本が隊列前方の盾に当たり、乾いた音を立てて落ちた。


「弓」


短い指示。


後方から弦が鳴る。


鉄の矢が飛ぶ。


一人、倒れる。

何が起きたか理解できない顔のまま、草の中に沈んだ。


静寂。


風だけが鳴る。


残った者たちの目に、さっきまでなかったものが宿る。


恐怖の先にある本能。


逃走。


「追うな」


部下が動く前にリシャビエルは言った。


「数と規模を把握する。ここは“彼らの領域”だ」


そう言いながら、自分の言葉の違和感に気づく。


領域?


ここは空白の地のはずだった。


王はそう言った。

地図にも印はなかった。


だが、今見た。


ここには暮らしている者がいる。


技術も、鉄も、マナも持たないが、

確かにここで生きていた者が。


足元に落ちた石槍を拾う。


軽い。

粗い。

だが、使われてきた痕がある。


「……報告が必要だな」


アフェットが言う。


リシャビエルはうなずいた。


「王に伝える。住民あり、文明段階低位、武装原始的」


淡々とした言葉。


だが胸の奥に、わずかなざらつきが残る。


これは戦略情報だ。

ただの分類だ。


それなのに――


“この地は無人ではなかった”


その事実だけが、妙に重かった。


草原の向こうで、逃げた者たちが消えていく。


リシャビエルは剣の柄に手を置いた。


やがてここに、柵が立つ。

炉が築かれる。

道が通る。


そして誰かが言うだろう。


最初から、人はいなかった


その言葉が生まれる瞬間を、

自分は知っているのだと思った。


新章スタートです! 今回はある王国のお話。

先住民と出会い、侵略し新国を作っていく物語。

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