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ラスティア群像劇~第1章~  作者: niseimo38
第1章~そこで暮らす者たち~

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20/206

020、ここに住むと決めた日

AI制作

魚の匂いが、まだ浜に残っている。


腹が満たされたことで、空気が少し変わった。

不安は消えていない。だが、動く余裕ができた。


神楽一番が丘を見上げる。


「住むなら、あのあたりだな」


海から少し離れた場所。

緩やかな斜面。風は弱く、見晴らしもいい。


敬三が頷く。


「波が来ても届かない位置だ。だが海は見える」


それが条件だった。


大工組が動き出す。


桂弘信が流木を担ぎ、

博多希子が枝を選び、

諫早希が地面を踏み固める。


「屋根は低く作る」神楽が言う。

「まずは雨と風を防ぐだけでいい」


家ではない。

“身を隠す殻”。


石川拓斗が太い枝を運びながら息を切らす。


「これ…文明ってやつか?」


丑三が笑う。


「文明ってのはな、たぶんこういう“めんどくせえこと”の積み重ねだ」


誰かが吹き出す。


疲れているのに、手は止まらない。


月代萬月は少し離れた場所に立ち、周囲を警戒している。

戦える者は、作業に入らない。


この分担が、自然にできている。


敬三は地面に杭を打ち込みながら言う。


「ここは通り道じゃない。

だが“俺たちが通る場所”にする」


神楽一番が横で頷く。


「人が踏めば道になる」


言葉は違う。意味は同じ。


日が傾く頃、形ができる。


枝を組み、葉を重ねただけの粗末なもの。

だが、風が直接当たらない空間がある。


博多が中に入り、空を見上げる。


「……落ち着く」


それが答えだった。


花子がその隣に座る。

明美が壁の隙間を埋める。


誰かが言う。


「屋根があるって、すげえな…」


その感覚は、全員同じだった。


敬三は少し離れてそれを見る。


まだ仮だ。

崩れるかもしれない。


それでも。


昨日は地面だった場所に、

今日は“中”がある。


外と内が分かれた。


それが、文明だった。


風が吹く。


だがもう、直には当たらない。


十二人の世界は、火の円から、

屋根のある空間へと広がった。


ここはまだ家ではない。


だが確かに――

人の居場所が、生まれた。


今度は初めての住居を作った話です。

彼らはここを永住の地と決め、生きていくことを選択しました。

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