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ラスティア群像劇~第1章~  作者: niseimo38
第1章~そこで暮らす者たち~
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017、初めての夜、初めての光

AI制作

太陽は、思っていたより早く傾いた。


気づけば、影が長く伸びている。

海は昼よりも黒く、深く見えた。


「戻れー!!」


丘の方から声が飛ぶ。荒波恭一だ。


水探し班が戻ってくる。

息は上がっているが、表情は悪くない。


「細い流れがあった!ちょっと上だ!飲めると思う!」


空気が少しだけ軽くなる。


敬三は頷く。

「よくやった」


短い言葉だが、本物の労いだった。


浜では、流木が集められていた。

神楽一番と桂弘信が石を打ち合わせている。


カン、カン、と乾いた音。


「火、起こせそうか」


敬三の問いに、桂が歯を見せる。


「やるしかねえだろ」


火花が散る。

だが、なかなか育たない。


風が強い。


博多希子と諫早希が体で風を遮り、

三雲……いや、違う世界だ――博多が小枝を差し出す。


何度目かの火花のあと。


ふ、と小さな橙色が生まれた。


「……!」


全員が息を止める。


火は揺れ、消えそうになり、

そして小枝を舐め、広がった。


炎が立つ。


その瞬間。


誰かが、小さく笑った。

誰かが、深く息を吐いた。


文明の最初の光だった。


夜が来る。


空は群青に沈み、星が現れる。

見たことのない星の並び。


波音が、昼より大きく聞こえる。


火の周りに十二人が集まる。

火の外は闇だ。


闇は深い。

丘の向こうも、海の先も、何も見えない。


「……広すぎるな」


丑三の呟き。


誰も否定しない。


世界は広い。

自分たちは、あまりに小さい。


敬三は火を見る。


炎は、生き物みたいに揺れている。


「夜は交代で見る」


その声で、全員の視線が上がる。


「俺と萬月が最初だ。次は神楽、桂。

火を絶やすな。海から目を離すな」


命令ではない。

生きるための共有。


花子が、そっと敬三の隣に座る。


肩が触れる。


それだけで、敬三の呼吸が少しだけ深くなる。


遠くで、波が砕ける音。


誰かの腹が鳴る音。


木が爆ぜる音。


誰もまだ、この場所を“家”とは呼ばない。


だが確かに、十二人は同じ円の内側にいた。


闇の世界で、火だけが境界線。


人の世界と、自然の世界を分ける、最初の線。


そして夜は、静かに、長く続いていく。


文明はまだ、火のひとつ分の大きさしかなかった。


最初の夜は、火が初めて灯った日。静かな一歩。でも、大事な一歩。

今後、彼らは少しずつ成長し歩み始める。

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