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ラスティア群像劇~第1章~  作者: niseimo38
第2章~旅人チェルシー~

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139/206

139、日の光の名を得た悪魔

セリフ筆者、ト書きAI作成。


崩れた地底魔城の跡に、まだ白い砂煙が漂っている。


スキアは、遠く地平を見やった。


「チェルシー。ここから一番近い街はどこだ?」


チェルシーは肩越しに振り返る。


「そうだねえ。ここからなら南に**セントビア王国**、ナスティア村があるな」


風が、南から吹いた。


スキアは小さく頷く。


「ありがとう」


チェルシーは軽く手を振る。


「さてと、私はそろそろ行くとしよう」


その背に向けて、スキアは呼び止める。


「チェルシーよ。次に会う時は、友として」


差し出された手。


迷いはない。


チェルシーは静かにその手を握る。


力は強すぎず、弱すぎず。


敵でもなく、契約でもなく、支配でもない。


対等の証。


「楽しみにしてるよ」


そう言い残し、チェルシーは歩き出す。


瓦礫の向こうへ。


やがて、その姿は地形の陰に溶けた。


静寂。


ほんの数分。


だが、不思議と長くも短くも感じる時間。


スキアは振り返る。


「お前たちも、いつまでも下級悪魔というわけにはいかないな。何か、名を授けようと思う」


二体は深く頭を垂れる。


「もったいなきお言葉。すべてはスキア様の命ずるままに」


スキアは、かつて自分を抱き上げた腕を思い出す。


叱責も、庇護も、沈黙も。


すべてが、今の自分を形作った。


「そうだな。私を育てたお前は――ニーチェだ」


風が止まる。


「ご尊名、ありがたく頂戴いたします」


その声は、もう“下級”ではなかった。


レインがもう一体を見る。


「この人は、サン」


名を与えられた悪魔は、穏やかに微笑む。


「レイン様、ありがとうございます」


スキアは三人を見渡す。


兄と妹。


そして、名を得た者たち。


主従ではない。


家族でもない。


だが、それに近い何か。


南の空は、わずかに明るい。


まだ見ぬ世界が、呼んでいる。


スキアは歩き出す。


「では、行くとしよう」


四つの足音が、瓦礫を離れる。


地底魔城は、もはや影だけ。


だが、その崩壊の上に立つ者たちは、確かに生きている。


新たな名とともに。


新たな道へ。


そして――


物語は、静かに続いていく。


下級悪魔さんにも名前が付きました。一つの個が生まれました。それも、二つも同時に。

彼らの紡ぐ物語は、また新たな風を吹き込むことでしょう。でも今は、チェルシーの話を続けたいと思います。

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