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ラスティア群像劇~第1章~  作者: niseimo38
第2章~旅人チェルシー~

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137/206

137、過去を断ち現在を紡ぐ

セリフ筆者、とがきAI作成

地底魔城の入口前。


 洞窟の外気は冷たく、澄んでいた。


 先ほどまで城内を満たしていた濁りは、薄れている。

 だが、岩壁の奥にはまだ残滓が絡みついている。


 支配の記憶。


 歪みによって無理やり形作られた城。


 スキアは振り返る。


 長く過ごした場所。


 強くなるために剣を振るい続けた場所。


 父の背を追い、越えようとした場所。


「チェルシー」


 呼びかける声は、揺れない。


「私はこの地底魔城を破壊しようと思う」


 チェルシーは彼の横顔を見る。


 後悔はない。


 激情もない。


 ただ、決意。


「……そうか」


 短く答える。


 それ以上は言わない。


 レインが一歩、兄の隣へ寄る。


「レイン。いいか?」


 問いは確認ではない。


 共有。


 レインは無言で頷く。


 それだけで十分だった。


 過去との決別。


 支配の象徴を残さないという選択。


 そして――


 ここから始まる未来のための布石。


 スキアはチェルシーへ視線を向ける。


「チェルシーは、この結末を見届けてくれ」


 見届け人。


 裁きではない。


 証人。


「ああ、わかった」


 チェルシーは糸を緩めたまま、立つ。


 干渉しない。


 ただ、観る。


 スキアが剣を抜く。


 刃は陽光を受け、静かに光る。


 大きく構えない。


 溜めもない。


 ただ、横へ――一閃。


 空気が裂ける。


 音は、遅れて来た。


 岩壁に走る亀裂。


 魔城を支えていた歪みが、次々と解ける。


 崩壊は爆発ではない。


 縫い目がほどけるように。


 無理やり継ぎ足された構造が、本来あるべき形へと還っていく。


 轟音。


 岩が崩れ、塔が沈み、洞窟の天井が割れる。


 だが、それは破壊ではなく――解放。


 濁ったマナが霧散し、空気が澄む。


 やがて、すべてが静まった。


 そこにあったのは、ただの岩壁。


 城の面影は、もうない。


 スキアは剣を納める。


 振り返らない。


 レインもまた、何も言わない。


 チェルシーは、その背を見つめる。


(王ではない)


(過去を壊せる者)


 それは、強さとは別の資質。


 スキアは一度だけ、空を仰ぐ。


 そして、歩き出す。


 城なき地から。


 新しい道へ。


チェルシーはスキアを見届ける。新たな一歩を踏み出す者への最大限の敬意をもって、見届ける。

たとえそれがどんな結末になろうとも、彼女は干渉しない。覚悟を持って、見届けるのだ。

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