136、選抜者の意思
セリフ筆者、ト書きAI作成
再び、大広間。
玉座の間から響いた叫びは、城中に届いていた。
ざわめきと共に、下級悪魔たちが集まる。
数十。あるいは、それ以上。
不安。
混乱。
主の気配が消えたことへの動揺。
その最前に、スキアは立つ。
背後にレイン。
チェルシーは少し離れ、壁にもたれたまま静観している。
レインは即座に動いた。
大広間の出口へ。
杖を構える。
空気が重く沈む。
逃げ道は、ある。
だが、自由ではない。
チェルシーが呟く。
「さて、残された者はどうするかだが……」
「俺に考えがある」
スキアは前を見たまま言う。
「それまでそこで見ていてくれ」
「ほう。分かった」
人形の糸が、緩む。
干渉はしない。
決めるのは、彼だ。
スキアが一歩、踏み出す。
「この地底魔城に住まう悪魔たちよ!」
声は広間に響く。
怒鳴らない。
だが、届く。
「ゴルゴンによる支配は終わった。力で支配する時代は終わった!」
ざわめきが強まる。
「これからは、我、スキアが共生を掲げ、この地に安寧をもたらす」
一拍。
「それに異がある者は、即刻ゆがみより元の地へと還るがよい!」
下級悪魔たちが揺れる。
信じられない。
だが、圧が違う。
逃げ出そうとする者が数体。
その瞬間。
レインの杖が地を打つ。
重力が軋む。
出口が、遠くなる。
下級悪魔たちは本能で悟る。
ここで暴れれば、終わる。
支配者は消えた。
だが、もっと静かな何かが立っている。
剣を抜かず、
怒鳴らず、
ただ、決めた存在。
選択肢はある。
従うか。
還るか。
やがて、一体がゆがみに向かう。
次々と続く。
敗走。
だが、追撃はない。
裂け目ではない。
ゆがみ。
帰還の道。
広間は、急速に静まっていく。
残ったのは――二体。
血走っていない目。
澄んだ視線。
スキアは彼らを見る。
「残ったのは、お前たちだけか」
二体は膝を折る。
「私たちは、スキア様に従うべく召喚された身」
「スキア様の共生に、地獄の果てまでついていきましょう」
レインが静かに息を吐く。
スキアはしばらく何も言わない。
広間には、もう濁った圧はない。
残ったのは、選ばれた意思だけ。
チェルシーはその光景を見て、目を細めた。
(王ではない)
(これは――選ばれた中心だ)
スキアは、ゆっくりと頷いた。
この下級悪魔二体は覚悟が決まってます。だから動じず、スキアと共に生きる道を選びました。
多くの悪魔が破壊の衝動で動く中、理性で動く稀有な存在。だからこそ響く思い。
スキアもそれに応えるべく、行動に移すのである。




