134、陽光、虹となりて影を照らす
セリフ筆者、ト書きAI作成
静寂は、剣よりも鋭かった。
レインが一歩も動かぬまま、チェルシーを見つめる。
「あなたの目的。排除? 支配? 違う」
わずかな間。
「もっと純粋な。文字通り、興味」
言い切る。
チェルシーは否定しない。
肯定もしない。
ただ、視線だけを返す。
スキアがレインを見る。
次に、チェルシーを見る。
そして、一言。
「敵ではないらしい」
剣は、抜かれない。
チェルシーは軽く息を吐く。
「濁ったゆがみを察知して来たの。乱暴に裂かれた痕跡。放っておけば裂け目になる」
一歩、視線をずらす。
「でも、その中に澄んだものがあった」
スキアとレインを見る。
「二つ。あなたたちね」
沈黙。
大広間の空気が、わずかに揺れる。
スキアは目を伏せるでもなく、逸らすでもなく、ただ受け止める。
「……そうか」
短い。
だが、その後に小さな間。
長くもなく、短くもない。
何かを整理する時間。
あるいは、手放す時間。
「薄々だが、気が付いてはいた」
視線は前を向いたまま。
「父が無謀なことをしようとしていることを」
声に怒りはない。
諦観でもない。
「だから、俺が強くならねばと思った」
わずかな沈黙。
「……レイン」
呼ぶ。
レインは頷く。
「うん」
それだけ。
それで足りる。
何を決めたのか。
何を手放したのか。
何を壊すのか。
言葉にはならない。
だが、確実に何かが動いた。
チェルシーは、それを見届ける。
介入しない。
ただ、観察する。
濁った城の中心で、
澄んだ何かが、今まさに形を変えようとしている。
それは、小さな変化。でも、一歩を決意した変化。その一歩はとても偉大でどこか切なさもある。
彼は決めた。留まるでもなく、流されるでもなく、歩むことを。




