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013、揺らぎの正体

AI制作

その異変に最初に気づいたのは、リディアだった。


朝と同じように、世界樹のマナの流れを整えていた時。

里を巡る光の筋の一本に、わずかな濁りが混じった。


水面に落ちた砂粒ほどの、ほんの小さな乱れ。


だが彼女にとっては、それは雷鳴と同じだった。


「……外側から、押されてる」


目を開けた瞬間、空気の密度が変わったのを感じた。


同じ頃、里の外縁で弓の訓練をしていたキミーネの動きが止まる。


「風の音が変わった」


ただの直感ではない。

空間の“流れ”が歪んでいる。


彼は即座に丘の上へ駆け上がる。


その視界の先――


森のさらに外側、地平線近くの空間が、陽炎のように揺らいでいた。


だが熱ではない。


空間そのものが、裂けかけている。


「ウェアルネ! 武器持って上がってきて!」

キミーネの声が里に響く。


ウェアルネは即座に作業台からマナ付与短剣を三本掴む。

迷いがない。職人の顔から、戦時の顔へ。


ハッカネンも農具を置き、周囲の若者に指示を出す。

「子どもは中央へ! 非戦闘員は小屋の中に!」


この里は、もう“逃げる集団”ではない。

守る形ができている。


丘の上に、リディアが来た。


彼女の目は閉じられ、両手は胸の前で組まれている。


「来る……これは、生き物じゃない。現象に近い」


キミーネが眉を寄せる。

「魔獣じゃないのか?」


「ううん。もっと根が深い。

マナの流れを“食べる”何か」


その言葉の直後だった。


空間の揺らぎが裂け、暗い霧のようなものが滲み出す。

形はない。だが“そこにある”。


地面の草が、触れただけで色を失う。


「下がって」


リディアの声が、初めて強く響いた。


彼女の周囲に、巨大なマナの輪が展開する。

里全体を包む半透明の結界。


霧が触れた瞬間、光と闇がぶつかり合う。


ジュッ、と音がした。


だが霧は消えない。

結界を“削って”いる。


キミーネが前に出る。


「俺が切る」


ウェアルネの短剣を握り、マナを流す。

刃が青白く燃える。


踏み込み、一閃。


空間ごと断つような軌道。


霧の一部が弾け飛ぶ。

確かな手応え。


だが同時に、キミーネの腕から力が抜ける。


「っ……マナを持っていかれる…!」


「触れちゃダメ!」


リディアの声が響く。


「これは“侵略”じゃない。“侵食”……

この世界に“穴”を開けようとしてる」


ハッカネンが低く言う。

「……400年、平穏だった理由がこれか」


世界は、忘れていたのではない。

ただ、届かなかっただけ。


今、この里が“規模”を持ち、“力”を持ったことで、

外界の異質な何かが、ここを“座標”として捉えたのだ。


キミーネは短剣を握り直す。


腕は震えている。だが目は折れていない。


「リディア、閉じられるか?」


彼女は頷く。

だが額に汗が滲む。


「時間がいる……世界樹の根と繋ぐ」


「じゃあ、その時間は俺が作る」


少年の声ではなかった。


守護者の声だった。


霧が再びうねる。


世界樹の里、400年の平穏。

それが今、初めて“世界の脅威”と向き合う。


これは戦争ではない。

これは――


世界の傷口を塞ぐ戦い。


そしてその最前線に立つのは、

16歳の少年と、武器を持たぬ最強のマナ使いだった。


さて、いよいよ大規模な事件が発生しました!

外界からの侵蝕。魔獣ではない新たな脅威。新世代の子たちはどのように立ち向かうのでしょうか?

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