118、動き出す歯車
AI作成。セリフ筆者。
夏美「おはよう、お姉ちゃん。あれ、この子随分可愛くなってるね」
朝の光の中、PC04は静かに立っている。
髪のフィラメントが柔らかく揺れ、昨日よりもずっと“人”に近い。
春奈「おはよう夏美。今のところ順調に動いている」
夏美「それで、名前は何になったの?」
春奈「それがいくつか候補を決めているんだが、まだ決めかねてね……と」
ふらり、と春奈の身体が揺れる。
夏美「あーもう! 今日で何日目? いい加減寝ないとだめだよ」
春奈「まだ4徹だ。大丈夫。それより、夏美からも何か話しかけてくれないか?」
夏美「4徹は大丈夫じゃない、けど……とりあえず私も何か話しかけようかな。そうねえ。PC03。私は夏美。春奈の妹の夏美よ」
PC04の瞳が微かに明滅する。
PC04「識別ナンバーが変更されています。現在の識別番号はPC04です。あなたの名前は『夏美』ですね。メモリ更新。夏美様、ご命令を」
夏美「様はいらないわよ。夏美って呼んでね」
一瞬の処理音。
PC04「了解しました、夏美『さん』」
春奈「……ん?」
チェルシー「どうしました?」
春奈はゆっくりとPC04を見る。
春奈「敬称修正は指示していない」
チェルシー「え?」
春奈「敬称の最適化アルゴリズムは搭載していないはずだ。呼称はそのまま出力される設計だ」
夏美「え、じゃあ今の“さん”って……?」
PC04は静かに立っている。
PC04「発話ログ確認。“様”は距離が遠いと判断。入力データ“様はいらない”。距離修正。最適値“さん”を選択」
春奈「……最適値?」
チェルシーの目が、細くなる。
チェルシー「距離、ですか」
PC04「夏美との関係性データ不足。暫定処理。親和度推定中。未だ解析中」
研究室に、静かな沈黙が落ちる。
春奈の喉が、かすかに鳴る。
それは命令ではない。
単純な置換処理でもない。
“距離が遠いと判断”。
“最適値”。
そこには――
0と1の間が、あった。
夏美「……ねえ、お姉ちゃん」
春奈は、PC04を見つめたまま、答えない。
PC04「次の命令を」
だがその声は、昨日よりほんの少しだけ、
硬さが取れているように聞こえた。
チェルシーは小さく呟く。
チェルシー「フォルダ“ココロ”。もう、開いているのかもしれませんね」
春奈の指先が震える。
理論は完璧。
設計も成功。
だが今起きた現象は――
計算外。
そして。
PC04の内部ログには、こう残っている。
敬称選択処理:未だ解析中
様でも、呼び捨てでもなく、「さん」。これの意味するところは?
事態は思ったより早く動きそうですね。




