106、興味、感嘆、謝礼
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放課後の学院中庭は、午後の陽光で柔らかく照らされていた。
図書室を後にしたチェルシーは、静かな小径をゆっくり歩く。
空気は穏やかで、昨日の市場の喧騒も、授業のざわめきも、もう遠い記憶のようだった。
「こんにちは」
声をかけられ、チェルシーは振り返った。
そこには、学生服姿の青年――ヴォイドと名乗る学生が立っていた。
背中の絡繰り人形に目を留め、落ち着いた口調で問いかける。
「それは……動かせますか?」
チェルシーは軽く微笑む。
「ええ、動かせます」
そう言うと、人形の肩の関節を操作し、手足を軽やかに動かして見せた。
ヴォイドは冷静に観察し、視線を巡らせて動きの正確さを確認する。
「……なるほど、確かに操作可能ですね」
彼は感情を抑えつつも、内心の知識欲が微かに輝く。
「お礼として、僕の魔術を見せましょう。多重同時詠唱です」
ヴォイドは立ち位置を整え、詠唱を開始。
瞬く間に四つの魔力が集まり、火、水、風、土の属性の魔術矢が同時に空中に放たれた。
矢は精密に飛翔し、交差してもぶつかることはない。
チェルシーの目は、操作の精度と魔力の制御に感心する。
「……四重同時詠唱、か……」
彼女は静かに拍手を送った。
ヴォイドはにわかに表情を変えず、淡々と訊ねる。
「理解できましたか?」
「ええ、精密さに驚きました。ありがとう」
チェルシーはにっこり微笑み返し、中庭を後にした。
宿屋に戻ったチェルシーは、日記に今日の出来事を記録する。
図書室での学び、ヴォイドの魔術、街や学院で見た風景――
すべてが旅の貴重な情報として書き込まれていく。
「今日も充実した一日だった」
小さく呟き、窓から入る夜風に背を押されるように、チェルシーは筆を置いた。
学生のヴォイドは初めて見るチェルシーの人形に興味を持ち声をかけます。
たしかに人間大の人形を背負っていたら興味をそそられますよね。




