どうして僕たちは生きるの?
カルテNo.3 = どうして僕たちは生きるの? =
トキは森で出会った廃棄されたロボット 〝BX−2〟を思い出していた。
トキの母は息子の傷を見て淡々と薬を塗る
「何考えているの?ずっと上の空ね…好きな子でもできたの?」
「違うよ!お母さん!・・・そんなんじゃないんだ」
「そう…」
傷口に薬が染みて片目を瞑るトキは何故だか嬉しかった。
昔、お兄ちゃんがお母さんに薬を塗ってもらって同じような言葉を言っていた事を思い出したのだ。
〝僕もお兄ちゃんに近づいた〟そんな気がした夜は綺麗な月が輝いていた。
月の光に手をかざし、自分の傷を誇らしげに感じたトキはすぐにでも、BXー2に会いに行く事ばかり考えていた。
「こんな気持ち初めてなんだ僕。お父さんとお母さんはきっとダメだと言うとわかるから。だから黙って行くんだ。君に会いにね。」
9歳の男の子の心に湧いた冒険心を誰も止める事はできないのだ。
翌朝、トキの父は仕事に行き、母は亡き兄を想い何かを祈っていた。
だから僕は黙って朝食を食べるんだ。
窓辺にもたれる兄の写真を横目にトキは静かに家を出た。
トキは学校には行かず、初めてBXー2と会った立ち入り禁止区域である森の奥へと足を運んだ。
「ホラ、来ルト思ッタヨ。」
BXー2はトキが来るのを知っていたかのように佇んでいた。
「フジ!!」
トキはBXー2をフジと呼んだ。
「私ハ、フジ、デハ有リマセン。」
「今日から君はフジ。僕がそう名づけるよ。だって君の名前呼びづらいんだもん」
「今日カラ私ハ、フジ。」
「そう。フジ。不死身のフジ。僕の名前はトキだよ。」
「トキ…私ガ貴方デ、貴方ガ私…ナラ、私ハ今日からフジ、デス。」
「僕、知りたいんだ。僕は人間でいつか死ぬんだけど、どうして僕は生きるの?」
「…良イ質問デスネ。デハ、伺イマス。何故生マレタノデスカ?」
「何でって、僕のお母さんとお父さんが僕を望んだから。だって学校で教わったよ。」
「ソレハ、デタラメデス。」
「やっぱり僕は望まれてないんだ。…そうだよね。ずっと気ついてたよ僕。」
「トキ、君ハ君ガ望ンデ生マレタ。」
「僕、望んでなんか無いよ!」
「忘レタノデス。」
「じゃぁ、思い出させてよ。君は古い古いロボットだ。何でも知っているんだろ?」
「ハイ。」
「人間ノ本当ノ、オ話ヲシマショウ。」
次回、 君が生まれた意味




