失夏

17歳の夏。
都会で暮らしていた青司は、
ふと届いた雨に濡れた手紙をきっかけに、
幼いころを過ごした山あいの村・鏡ヶ谷へ戻る。

村の記憶はほとんど失われている。
懐かしさよりも、知らない土地に来たような心細さ。

そんな中、駅で青司の名を呼んだのは――
澄んだ笑みを浮かべる少女・篠原澪。

彼女に導かれ、かつての家へ足を踏み入れた青司は、
些細な景色や音の断片に、忘れたはずの何かが揺らぐのを感じる。

季節は、夏祭りを前にした静かな朝。
風鈴の音、山の匂い、ひっそりとした村の気配。
胸の奥で何かが目を覚まし始める。

けれど、
澪の姿は、青司だけに自然すぎて、
そして、どこか儚かった。

帰ってきた理由も、
忘れてしまった日々も、
まだ青司は何も知らない。

ただ、この夏が、
失われた夏の続きを歩き出す季節なのだと、
どこかで感じながら。


(注)一部にAI生成を使用(著者が構成を考えそれを元にAIで生成し、著者が加筆修正をするという形で)しています。