第3話 聖騎士アルフォンス
コール神教国の聖騎士アルフォンスはバシュラール魔王国の王都に到着する。アルフォンスはこれまで通って来た町や村も含めて人々が生き生きとしていることに感心する。
これは魔王ロックが国をうまく運営していると共に善政をしている証拠だと考える。これなら魔王ロックを討ち取る必要はないと思う。
しかし、教皇コンチヌスの命令がある。少なくとも魔王ロックの配下と剣を交わさないといけないだろう。
アルフォンスは真直ぐ王城へ進んで行く。城の門でアルフォンスは兵に呼び止められる。
「何の用ですか。」「私はコール神教国の聖騎士アルフォンスです。魔王ロックに会いに来ました。」
「ここでお待ちください。」
兵が1人城の中に走る。連絡は広報大臣のディルクに伝わる。ディルクは情報局長として王都に聖騎士が来たことは知っていたがそのまま城に乗り込んでくるとは思っていなかった。
ディルクは、ロックとカールに聖騎士アルフォンスが会いに来たことを知らせる。ロックはディルクに気軽に言う。
「会ってもいいよ。」「待ってください。相手は最強といわれる聖騎士アルフォンスです。もっと警戒してください。」
カールがロックを心配して言う。
「分かった。四天王とオーガに同席してもらおう。」「それがよろしいかと思います。」
門で待たされていたアルフォンスは兵の案内で謁見室に案内される。そこには玉座に座るロックと右側にリースが立ち、左側にカールが立っている。そして、四天王とオーガが控えている。
アルフォンスは、あれがロックで横に立つ女性が元魔王のアンネリースだと確認して片膝をつく。
「コール神教国の聖騎士アルフォンスです。私にお時間をいただきありがとうございます。」「何の用で参られた。」
「魔王ロックを討伐するつもりでしたが、その気は失せました。」「なぜ私を討たない。」
「私が討ち取るとこの国の民が困るからです。」「ではどうする。剣を交えたく思います。」
「私とか?」「いえ、ロック様が私の相手にと思った方とお願いします。」
「そうか、誰がいいかな。」「ロック様、俺と試合をさせてください。」
オーガが名乗りを上げる。オーガは、リースに剣術を教えられ腕を上げている。しかし、オーガと剣で戦えるのはロックとリースだけである。他の強い相手と戦えることを願っていた。
「聖騎士アルフォンス殿、オーガが相手でも良いか。この国で屈指の剣の腕を持っているぞ。」「よろしくお願いします。」
アルフォンスはオーガと戦うことになる。場所を城の中庭に変える。アルフォンスは聖剣を抜いて構える。オーガは大刃を構える。
庭の周りには見物人で囲まれる。ディートハルトも聖騎士の剣技に興味がある。突然、2人の姿が消える。同時にガーンと衝撃波と一緒に音が聞こえる。
聖剣と大刃が真っ向からぶつかったのだ。オーガの力はかなりのものであるはずなのにアルフォンスは一歩も引かない。2人は同時に後ろに飛びのく。
アルフォンスはオーガの周りを走り始めるがかなり高速で体がぶれて見える。足の運びでわざと緩急をつけてぶれさせている。しかし、オーガには見えていた。
アルフォンスの動きはロックに比べればゆっくりだったのだ。オーガが一気に間合いを詰めて大刃を横に薙ぎ払う。アルフォンスは体を傾けて危うい状態でかわす。
オーガはアルフォンスの姿勢が崩れたところを逃さない。さらに詰めて上段から打ちこむ。アルフォンスは片膝をついて聖剣で大刃を受ける。
オーガは引いて、アルフォンスが立ち上がるまで待つ。今度はオーガが動く、まっすぐ向かって行くが2人に分裂したように見える。アルフォンスは迷うことなく右のオーガと対峙する。
しかし、右のオーガは消え、左のオーガが袈裟切りにする。アルフォンスはかわそうとしたが間に合わない。大刃はアルフォンスの左肩を切りつける。
左肩から血が流れ出るがアルフォンスの闘志は消えていない。オーガの間合いに入ると突きを三連撃する。オーガはかわし切れず最後の突きを左腕で受ける。
オーガの左腕からも血が流れ出るがオーガは笑っている。アルフォンスを好敵手だと認めたのだ。
オーガは距離をつめて大刃を横なぎにする。アルフォンスは聖剣で受けて火花が散る。アルフォンスはそのままオーガの首に突きを繰り出す。オーガは首を傾けるだけでぎりぎりにかわす。
アルフォンスは声を出して笑いはじめる。
「貴殿のように強い者と初めて会いましたぞ。」「ロック様とリース様はもっと強いぞ。」
「それは恐ろしいことだ。」「アルフォンス殿も十分に強い。」
「続けますか。」「次を最後にしましょう。」
オーガとアルフォンスは構えなおす。そして2人の姿が突然消える。次の瞬間、オーガは大刃でアルフォンスを貫いていた。そして、オーガも聖剣に貫かれていた。
2人は吐血して倒れる。直ちにフールが2人をヒールする。
翌日アルフォンスはロックに謁見する。
「昨日は素晴らしい試合だったよ。」「ありがとうございます。教皇にはバシュラール魔王国と戦わないように進言します。」
「我が国もコール神教国とことを構えるつもりはない。そう伝えてくれ。」「分かりました。」
アルフォンスはオーガに握手を求める。そして、帰って行く。




