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追憶の君  作者: 森本 凛
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 とても綺麗な月を見た時に、僕は君のことを思い出します。あの日、本当に偶然、君と出逢えたことが、僕の人生をとても煌びやかなものに変えてくれました。

 ありがとう。僕はもう、花鳥風月が沁みるぐらいおじさんになってしまったけれど、記憶の中の君は、いつまでもあの時のまま、瑞々しい姿をしています。

  君は今の僕を見て、何て言うだろう? 君だけを想い続けて生きてきた、この滑稽な人生を笑い飛ばすだろうか?

 三十年前、僕と君に永遠の別れが訪れた。

「生まれ変わって会いに行く」

 そんな馬鹿げた君の言葉を信じて、そんな馬鹿げた君の言葉に縋って、僕は今日まで生きてきました。でも、僕はもう終わりにしたい。君のいない三十年はあまりに長すぎたし、平均寿命から考えて、更に三十年はこれから先、生きていかなければならない。

 そんな人生に意味はない。僕は自分のことが嫌いだったし、それは今でも変わっていない。だけど、君と一緒にいる時の自分は嫌いではなかった。君がいない僕は僕ではない。僕という物の在り方は君を通してしか映し出すことができない。そんなことはずっと分かっていた。でも、いつかもう一度って有りもしない幻想を待ち続けた。そんな人生に僕はほとほと疲れてしまったよ。

 君と出逢った川辺に座る。月が綺麗な夜に、僕の思念はあの日にタイムスリップする。

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