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7 子爵は支配する
愛する妻と娘と摂る食事は美味い
子爵家の大きな食堂で家族と朝食を摂りながら思った
今まで男爵家の三男として冷遇されてきた
どんなに頑張っても認められることはなかった
スペアのスペア
存在することなんて誰も気がつかない
そんな立場だった
そんな時だった
男爵家に頻繁に出入りする娘が目についた
どんな時でも笑顔を絶やさない前向きな態度
平民で生活が大変であるのにも関わらずである
いつしか自分の立場と重ねていた
そして幸運なことに相手も私のことを好いてくれていた
「兄の領地の代官になったら結婚してくれ」
いつのまにかそう約束していた
それには後悔はない
ところが人生とは皮肉なもので幸せになろうとするとどこからともなく邪魔がはいる
子爵家へ婿入りすることを両親から命じられたのだ
もちろん拒否した
愛する人がいるのだから当然だ
しかし両親により無理矢理別れさせられた
そして婿入りさせられた
でも天は私を見放してはいなかった
今では子爵家の当主となってなんでも自由にできる存在になったのだ
もう両親である男爵の言う事なぞは聞かない
自分の好きにさせて貰おうじゃないか