ミゼット =͟͟͞͞ GOT BACK =͟͟͞͞ =
「孤独を愛する 笹森・ヴァン・ドーゼン博士は
┃ とある楽曲の創作過程・・
・・そのユニーク極まる目撃談 ┃を
友人である<私=DJ汐>に こっそり語ってくれた。
独り占めしたい誘惑を向こう岸へ追いやり
(もちろん 博士の許可を取った上で)
今宵リスナーの皆様に・・プレゼント致しマス鮭!」
と言い、汐はカフを下ろした。
━ ラジオドラマ『ミゼット/GOT BACK』の始まり、始まり。
メリーX’マス ━ 聖しこの夜(BGM♪)
R7‣12月25日(木)夜のことである・・
タイムトラベルから戻りたてホヤホヤの、
笹森V・D博士は、
愛車ミゼットを車庫に戻し、
シャッターをクローズ、研究室兼自宅のドアを開いた。
大事に育てている乳母玉サボテンに向かって・・「ただいま」・・とつぶやく。
ぬるいお風呂に ゆっタップり 浸かったあと♨
♧トランプ模様のあしらわれた♠ガウンを身につけ♢胴ひもを結んだ♥
暖房の効いた自室で、キャンドル照明を灯し、
MYプラネタリウムを操作して ☪︎冬の星座群を眺めながら ☽
先だって、ローマ往復のタイムトラベルの際、
見知らぬ男性から贈られた・・冷え冷えの高級シャンペンを、
ファミチキとよっちゃん酢イカをつまみに、グビグビやり、
極上気分にひたりつつ、
コージーコーナーで買い求めた、
3号ケーキをいつ食べ始めようかと偉大な頭脳を悩ませていた。
たった今・・
魂を浄化する響きを持つ
|稀曲|の創作現場および、
その根源を成す|霊感|を獲得する決定的瞬間を目撃してきた喜び、
伴う余韻と、多大な興奮を引きずり、
シャンペン酔いの素敵な気分を重ね合わせ、
1969年リリースの名盤『横断・歩道』をCDトレイに乗せ、
8曲目<due to>へと スキップ & リピート再生を行い、博士は聴いていた。
三声を三回、マルティプライ させた、
九声ハーモニーからなるこの曲は、鳥肌が立つほど素晴らしい♪
究極のイノベーションとメロディー甘露を融合、
独創の中心部を射抜いた<クランベリー苺>に対して・・
<due to>は・・
源流曲に哲学的な詩が相まって、崇高美にまで到達している逸品だ。
四人組は ━ 優れたスタッフの協力を得て━ 最高峰の二山に登頂してのけたのだ。
これ以外にも、クリエイティビティーに溢れた楽曲を、
片手に余る数、創造し得たポップ・グループは、ちょっとほかに見当たらない。
バラードを拵えさせたら天下一品のソングライターまでいるのだ。
革新性と併せて、
大円を描くメロディーを提供できる無敵さを誇っていた。
チベット死者の書にインスパイアされた<明日不明>も、
サイケデリックを お経サウンド に落とし込んだ
ウミガメ・クラスの「サイテス1」曲である。
コレの進化・完成形が<クランベリー苺>といえるだろう。
生誕○○年の博士は、
空前のエモーショナルを与えてくれた唯一の楽曲、
<due to>が生れ出る創作の経緯を知るためだけに、
20世紀へ タイム遡行 してきたのだ。
時を遡った甲斐はあった!
(タイムトラベルは想像以上に過酷なのデス)。
━〇━
1969年夏の英国において・・
他人様の家の窓をなんの断りもなく
のぞき込んでいた博士の目に入って来たのは・・
イエス様によく似たソングライターが、ソファに寝転がって、
新曲の構想を 意識下で練っていると思われる姿であり、
それを推測させるタイミングでもあった
(彼らの新曲を心待ちにしていたファンたちが、
ひどい飢餓状態に陥っていた時期と丁度クロスする)。
ひょっとすると彼は、ただ、ボーッとしていただけなのかもしれない
— 芸術家の創作森の内界を窺い知るすべはないのだ。
長い黒髪を持つ日本人(!)彼女が弾いているピアノ曲を、
彼は、なんとなく 聴いていた風に(こちらからは)見えた。
・・まあ、ありがちな光景であろう。
演奏の最中 ―
― ソングライターの全身は
紛うことなく ∥淡い光∥ を帯びた。
(少なくとも博士の目にはそう映った)
瞬後、彼は・・彼女にリクエストを・・こころみる。
―「その曲を、逆から弾いてみてくれないか!」― と。
広大な海のような名を持つ女性は、
・・難儀な要望に応え・・
ピアノ曲を、ラストから遡って演奏した。
— それを耳にした直後のこと ―
未知界からの☆インスピレーションを授かったかのように、
ソングライターは起き上がり、
逆弾きコード進行を、
手元にあったペーパーに、ペンを執り、
自動書記モードで高速書き取りしていった。
その上へ、
脳内に湧き出るメロディーと、
フィロソフィー含有の詩を乗せていく。
そうして完成させた曲が ― 余りに美しい<due to>なのである。
・・日本人彼女の弾いていたピアノ曲というのは、
かの有名なヴェートーベン ― 『月光』。
1801年、B氏作曲による名ソナタなのデス。
クラインの壺のような
謎めいた経路をたどって創作された曲を形にするため、
8月初頭・・四人組とスタッフは・・
後年、世界一有名となる「横断歩道」近くのスタジオに集結した。
三声に三声を重ねてゆき、
崇高な九声に磨き上げられて、結実。
ヴォーカル込みで、三日という日時を費やし、
エレクトリック・ハープシコードのイントロ、
シンセサイザー等々の楽器を加えて録音、完成を見た。
同年9月26日に発売された・・
アナログLPレコード『横断・歩道』。
そのアルバム、(今は無き)B面二曲目に<due to>は収録された。
俗に<横断歩道メドレー>と呼ばれる、
フリップサイドのシームレスな曲連なりの旋律は、
現在では、音楽純度の24金 と称されているほど。
━〇━
リピート再生をOFFにした博士は、メドレーへと切り替える。
風呂上がり♨ シャンペン酔い プラネタリウム発 ━ 星々の瞬き
クリエイターのインスピレーション獲得瞬間を目撃できた幸福感。
耳に心地よい流麗な音の流れ。
博士のマインドセットは最高度に整えられ、
その魂は、肉体を抜け出し浮遊を始めた。
うっとり音楽に耳を傾けている自分を、見降ろしているもう一人の遊離体。
重力を脱し、高揚に満たされ、エクスタシーシャワーを浴びながら、
束縛から解き放たれ、天井近辺を浮遊し、ひとっ跳びで屋根を超越。
フライト速度を自在に操り、寒さなど寄せ付けない陶酔を纏い ━ 飛翔する。
ディズニーランドも真っ青のファンタジー中枢体験。
空路では・・
予想外のハッピーに遭遇!
橇を引く(樹氷角を頂く)トナカイたち、
橇上に控えし(子供のアイドル)サンタクロース卿とスレ違う幸運との邂逅。
博士の分離体は、腕が千切れるほど振り回し、
大きな声であいさつを贈る ━「ひゃっほー!メリーX’mas!」
サンタ卿も笑顔で
=͟͟͞͞ = 橇を宙返りさせる=͟͟͞͞ =
スゴ技披露の返礼を決め 、スレ違って行った。
┃いいことありそうな未来の予感┃を独り噛みしめる。
やがて、もう一人の自分は、
姿・形に加え セルフ意識からも 解脱してゆき・・
<イレブンイレブンナイン>フェーズ へ ※
・・純化していった。
― ニ十分弱の『横断・歩道』メドレーは終了した。
※イレブン・ナインとは・・
半導体結晶の純度を示す値。
100%に最も近い99.999999999%という意味。
数字の9が11個並ぶので「イレブン・ナイン」。
━◇━
令和八年(丙午)を迎えました 。
読者の 皆さま、
あけましておめでとうございます—ヒヒーン!
・・本年もよろしく。




