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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
82/82

ミゼット =͟͟͞͞ GOT BACK =͟͟͞͞ = 


孤独こどくを愛する 笹森・ヴァン・ドーゼン博士は

 ┃ とある楽曲の創作過程・・

   ・・そのユニークきわまる目撃談 ┃を

 友人である<私=DJ(しおり)>に こっそり語ってくれた。

 ひとめしたい誘惑を向こう岸へ追いやり

 (もちろん 博士の許可を取った上で)

 今宵こよいリスナーの皆様に・・プレゼント致しマス鮭!」

 と言い、汐はカフを下ろした。


━ ラジオドラマ『ミゼット/GOT BACK』の始まり、始まり。


メリーX’マス ━ きよしこの夜(BGM♪)


R7‣12月25日(木)夜のことである・・

タイムトラベルから戻りたてホヤホヤの、

笹森(ヴァン)(ドーゼン)博士は、

愛車ミゼットを車庫に戻し、

シャッターをクローズ、研究室兼自宅のドアを開いた。

大事に育てている乳母玉サボテンに向かって・・「ただいま」・・とつぶやく。


ぬるいお風呂に ゆっタップり かったあと♨

♧トランプ模様のあしらわれた♠ガウンを身につけ♢胴ひもを結んだ♥

暖房の効いた自室で、キャンドル照明をともし、

MYプラネタリウムを操作して ☪︎冬の星座群を眺めながら ☽

先だって、ローマ往復のタイムトラベルの際、

見知らぬ男性から贈られた・・冷え冷えの高級シャンペンを、

ファミチキとよっちゃん酢イカをつまみに、グビグビやり、

極上気分にひたりつつ、

コージーコーナーで買い求めた、

3号ケーキをいつ食べ始めようかと偉大な頭脳を悩ませていた。


たった今・・

たましい浄化じょうかする響きを持つ

マレきょく|の創作現場および、

その根源を成す|霊感|を獲得する決定的瞬間を目撃してきた喜び、

ともな余韻よいんと、多大な興奮を引きずり、

シャンペン酔いの素敵な気分を重ね合わせ、

1969年リリースの名盤『横断・歩道』をCDトレイに乗せ、

8曲目<due to>へと スキップ & リピート再生を行い、博士は聴いていた。


三声さんせいを三回、マルティプラ(掛けた)イ させた、

九声きゅうせいハーモニーからなるこの曲は、鳥肌が立つほど素晴らしい♪

 

 究極のイノベーションとメロディー甘露かんろ融合ゆうごう

 独創の中心部を射抜いぬいた<クランベリー(イチゴ)>に対して・・

 <due to>は・・

 源流(・・)曲に哲学的な詩が相まって、崇高美にまで到達している逸品だ。


四人組は ━ 優れたスタッフの協力を得て━ 最高峰の二山にざんに登頂してのけたのだ。

これ以外にも、クリエイティビティーにあふれた楽曲を、

片手に余る数、創造し得たポップ・グループは、ちょっとほかに見当たらない。

バラードをこしらえさせたら天下一品のソングライターまでいるのだ。

革新性とあわせて、

大円を描くメロディーを提供できる無敵さを誇っていた。


チベット死者の書にインスパイアされた<明日不明>も、

サイケデリックを お経サウンド に落とし込んだ

ウミガメ・クラスの「サイテス1」曲である。

コレの進化・完成形が<クランベリー苺>といえるだろう。


生誕○○年の博士は、

空前のエモーショナルを与えてくれた唯一の楽曲、

<due to>が生れ出る創作の経緯を知るためだけに、

20世紀へ タイム遡行(そこう) してきたのだ。

時をさかのぼった甲斐かいはあった!

(タイムトラベルは想像以上に過酷かこくなのデス)。


━〇━

1969年夏の英国において・・

他人様の家の窓をなんの断りもなく

のぞき込んで(ピーピングトム)いた博士の目に入って来たのは・・

イエス様によく似たソングライターが、ソファに寝転がって、

新曲の構想を 意識下で練っていると思われる姿であり、

それを推測させるタイミングでもあった

(彼らの新曲を心待ちにしていたファンたちが、

 ひどい飢餓きが状態におちいっていた時期と丁度クロスする)。

ひょっとすると彼は、ただ、ボーッとしていただけなのかもしれない

— 芸術家の創作森の内界をうかがい知るすべはないのだ。


長い黒髪を持つ日本人(!)彼女が弾いているピアノ曲を、

彼は、なんとなく 聴いていた風に(こちらからは)見えた。

・・まあ、ありがちな光景であろう。

演奏の最中 ―

― ソングライターの全身は

まがうことなく ∥あわい光∥ をびた。

(少なくとも博士の目にはそう映った)

瞬後、彼は・・彼女にリクエストを・・こころみる。

―「その曲を、逆から弾いてみてくれないか!」― と。

広大な海のような名を持つ女性は、

・・難儀なんぎな要望に応え・・

ピアノ曲を、ラストからさかのぼって演奏した。

— それを耳にした直後のこと ―

未知界からの☆インスピレーションをさずかったかのように、

ソングライターは起き上がり、

ぎゃく()きコード進行を、

手元にあったペーパーに、ペンをり、

自動書記モードで高速書き取りしていった。

その上へ、

脳内に湧き出るメロディーと、

フィロソフィー(philosophy)含有がんゆうの詩を乗せていく。

そうして完成させた曲が ― 余りに美しい<due to>なのである。


・・日本人彼女の弾いていたピアノ曲というのは、

  かの有名なヴェートーベン ― 『月光』。

  1801年、B氏作曲による名ソナタなのデス。


クラインのツボのような

謎めいた経路けいろをたどって創作された曲を形にするため、

8月初頭・・四人組とスタッフは・・

後年、世界一有名となる「横断歩道」近くのスタジオに集結した。

三声さんせいに三声を重ねてゆき、

崇高すうこう九声きゅうせいみがき上げられて、結実けつじつ

ヴォーカル込みで、三日という日時を費やし、

エレクトリック・ハープシコードのイントロ、

シンセサイザー等々の楽器を加えて録音、完成を見た。


同年9月26日に発売された・・

アナログLPレコード『横断・歩道』。

そのアルバム、(今は無き)B面二曲目に<due to>は収録された。


ぞくに<横断歩道メドレー>と呼ばれる、

フリップ()サイド()のシームレスな曲つらなりの旋律せんりつは、

現在では、音楽純度の24金 と称されているほど。

━〇━


リピート再生をOFFにした博士は、メドレーへと切り替える。

風呂上がり♨ シャンペン酔い プラネタリウム発 ━ 星々のまたた

クリエイターのインスピレーション獲得瞬間を目撃できた幸福感。

耳に心地よい流麗な音の流れ。

博士のマインドセットは最高度に整えられ、

その魂は、肉体を抜け出し浮遊を始めた。

うっとり音楽に耳を傾けている自分を、見降ろしているもう一人の遊離体。

重力を脱し、高揚に満たされ、エクスタシーシャワーを浴びながら、

束縛そくばくから解き放たれ、天井近辺を浮遊し、ひとっびで屋根を超越。

フライト速度を自在に操り、寒さなど寄せ付けない陶酔とうすいまとい ━ 飛翔する。

ディズニーランドも真っ青のファンタジー中枢ちゅうすう体験。

空路くうろでは・・

予想外のハッピーに遭遇そうぐう

ソリを引く(樹氷じゅひょうツノを頂く)トナカイたち、

橇上に控えし(子供のアイドル)サンタクロース(きょう)とスレ違う幸運との邂逅(かいこう)

博士の分離体は、うで千切ちぎれるほど振り回し、

大きな声であいさつを贈る ━「ひゃっほー!メリーX’mas!」

サンタ卿も笑顔で

=͟͟͞͞ = ソリを宙返りさせる=͟͟͞͞ =

スゴワザ披露の返礼を決め 、スレ違って行った。


┃いいことありそうな未来の予感┃を独り噛みしめる。


やがて、もう一人の自分は、

姿・形に加え セルフ意識からも 解脱げだつしてゆき・・

<イレブンイレブンナイン>フェーズ へ ※

・・純化じゅんかしていった。


― ニ十分弱の『横断・歩道』メドレーは終了した。





※イレブン・ナインとは・・

 半導体結晶の純度を示す値。

 100%に最も近い99.999999999%という意味。

 数字の9が11個並ぶので「イレブン・ナイン」。


━◇━

令和八年(丙午(ひのえうま))を迎えました 。

読者の 皆さま、

あけましておめでとうございます—ヒヒーン!

・・本年もよろしく。


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