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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
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インサート|挿入

ローテーション制で・・

猪熊いのくまの担当となった第四話には、

厄介やっかいなシーン(場面)が 二か所 ばかりもうけられていた。

ひとつは ━ 銭函ぜにばこビッグショット指令の「パンチラ」である。

もう一か所は ━ しおりからモモへとバトンされた「(Age) 退行(regression) 」場面だ。


監督用〈細密さいみつな絵コンテのされた〉脚本を、

マロ先輩からじかに受けとった猪熊は難色なんしょくをしめした。

エイジリグレッション(年齢 退行)場面に関して言えば、

猪熊自身は・・

この手のギミックに興味は持てなかったけれど ━ マロが別撮べつどりするので問題ない。

障壁しょうへき前者ぜんしゃの ━ 「パンチラ」である。


「いかに上からの指令とはいえ、

たましいを売るような真似はやりたくないですね、オレは」

とヒゲづら監督は率直そっちょくき出した。


マロは しかと うなずき、

猪熊(クマ)よ、

メジャーで仕事するというのは、こういう事さ。

受けれるんだ!」

はげますように後輩の分厚ぶあつい肩を叩き、

「きみは・・

ライター(脚本家)のえがき出した 未知の敵 である

水たまり(・・・・)と同化する┃かがみ使()ト┃。

そいつの真上まうえを、

ミニスカ着用のモモがジャンプする前後を、

コンテ通りに撮ってさえくれれば、それで良い。

放送コードに抵触ていしょくするような箇所かしょは、

私がCGで処理するよ」


━〇━

さて、話はちょい遡行そこう・・

自身じしん要請ようせいで書き足された、

ホン(脚本)を一読いちどくしたとき、

マロ監督は売れっ子ライターの実力を再認識した。


酒席での会話をヒントにしたとしか考えられない・・

(とつ)ピンクの出自しゅつじを、

児童じどう養護(ようご)施設出身者と、背景をリアルがためてきており。

幼き頃・・誘拐ゆうかいされた彼女は、からくも脱出して、

現在まで生きてきた・・そんなトラウマをにおわせていた。

ピンクは過去を追想ついそうさせるような〈心傷(トラウマ)ケース〉に遭遇そうぐうすると、

金縛かなしばり状態におちいり、

記憶(メモリー)金庫のダイヤルがピタリとそろい、

瞬時しゅんじに・・

〈児童へ退行してしまう〉

・・無理ムリのない設定をこしらえ、提示ていじしきた。


したなめずりしながら、

ディレクター南禅寺なんぜんじは、

絵コンテをすいすいと書き上げ、

撮影プランの詳細な設計図を添付てんぷCOPY。

秘書に言いつけ、

各部門の責任者にれなくくばらせ、集合命令をかけた。

監督室にて、

パワーポイントとホワイトボードを使用、

撮影監督を中心に、照明や特機ほか、美術の責任者もまじえ、

綿密めんみつな打ち合わせを行った。

・・撮影準備は短時間でととのえられた。

━〇━


モモは、

自由な雰囲気の猪熊いのくま組から、

窮屈きゅうくつな南禅寺マロ組へ、

うしがみ引かれる思いで移動した。

マロ監督は、モモに対しては、

つらく当たったことは一度たりともない。

それどころか、過保護ともいえる 取りあつかい であった。

とはいえ、

監督が放電する上意じょうい下達かたつのピリピリ感には、

正直、緊張をいられる女優研修生(インターン)なのです。


彼女は三話までの撮影を終え、

自分には演技の才能はうすいと、や自覚していた。

訓練に訓練をかさねても、

しおりさんレベルはおろか、

・・日出にっしゅつどきの・・

彼女の長い影先かげさきむことすら不可能。

趣味にしろ、スポーツにしろ、上達する場合、

|なんらかの兆候ちょうこうなり片鱗へんりん・・いわゆるセンス|

しくは・・盲目もうもく的な対象たいしょうLOVE♡|

うかがえるもの。

自分の演技には、根源こんげんとなる、

それらの種子しゅしが、見当たらない。

子供のころをり返れば・・

身体を動かしたい衝動しょうどうげにより、

本能主導で、迷わずスポーツに邁進まいしんしてきた。

体育系の種目はひと通りこなせた上、

他人より抜きん出るのに、

限界()えのスポ根努力とは無縁むえんだった。

中でも器械きかい体操は、野生やせいの草花のように伸びて、得意中の得意である。

特技は延長線を引き・・大学へも筆記免除で推薦すいせん入学できた。

━ モモのDNAに運動種子がまっていたからだ(+身体能力)。

例外は・・

運動神経とイコールではない ≠ 球技きゅうぎ

〈読み〉とか〈駆け引き〉〈メンタル〉といった

ソフトウェア(Soft ware)部分で苦戦をいられた。

ゴルフにしても同様・・

持ち前の身体能力とバネで、飛距離はかせげる。

しかし、アプローチには手こずった。

パッティングときたにゃ・・

上手うまいゴルファーを手本にできた場合のみ、

ラインに乗せられる、限定付きパター使いなのである。

伸びしろ不確(ふたし)かなカベいどんでまで続けたいとは思えず、

競技としてのゴルフはあきらめた。

テニス同様、遊びに切りかえ、ときどきクラブを握る程度に落着らくちゃく

 

あこがれや切望せつぼうをベースにした

 不屈ふくつなる意志力やガッツで、

 ついに苦手を克服こくふくし、

 長足ちょうそくの進歩をげるケースなどはまれも稀。

 現実は・・重力じゅうりょくや苦痛をともなう山登り┃

演技も一緒なのだ!


他方たほう・・

(とつ)ブルーの言うとおり、

<スーパー戦団もの>にメイン(クラス)で出演できるという、

千載せんざい一遇いちぐうのチャンスをつかんだ事実は動かせない!

TVに映るレアバイトと考えれば、思い出作りとしては、この上ない。

━ なんたって・・DJアイドルと一緒に過ごせるのだから。


思いがけない副産物は・・

メディアミックスの一環いっかんとなる、

新発売されたチョコボールのCMに、

レンジャーズの一員として採用されたコト。

四名の変身前と変身後の姿が画像パッケージされ、

コンビニやスーパーの菓子コーナーに並んでいるのを目にした時には、

人生(はつ)グレード体験—―空前くうぜんの驚きとよろこびを味わった!

 チョコボール菓子は1箱に付きキャラクターシール一枚のオマケ付き。

 最低でも4箱以上買わないと、

 (とつ)レンジャーせいぞろいはかなわないカラクリ商売。

 新発売の目玉めだま特典として、

 大穴おおあなシール《(とつ)ゴールド》を引き当てれば、

 QRコードを経由して五千円相当の豪華賞品がもらえる☆

 (金のエンゼル以上に 稀少きしょう枚数 という(ダブル)カラクリ)

 ・・メーカーのアンケート調査によると・・

 キャラ人気トップは断(とつ) イエロー◎、※ピンクは二番人気〇であった。

い上がるようなにわかスター気分を味わった。

「大資本と結びつくというのは、こういう事なんだ」と骨身ほねみで感じた。

初めて菓子のTVCMを見たときは・・

恥ずかしかった半面∽ウレしくもあった。

スポンサーから、現物菓子を大量に支給しきゅうされ、

家族・親戚・友人たちにくばったのも、うるわしき思い出。


冷静になって考えてみれば・・

自分自身|演技センスに恵まれていない|と言っても、

まったくゼロでもない自己評価(5段階評価で1・5前後か?)。

ラッキーなことに、イエローしおりという素晴らしいお手本もいる。

ゴルフのパターにならい・・

<真似事(一夜いちやけ)で>

・・最低限はイケるはずだ。

一瞬のハードルえなら、ボロは目立めだたない。

ろんより証拠しょうこに、

もう第三話までは放送用にかんパケされていた。

マロ監督の現場だ・・

ダメならば、

とうにろされていたはずである。


\18歳女優ならどう演ずるか?/

 をいしずえに、

演技構築こうちくして悪いことはない!

わがままに、そう解釈かいしゃくしてしまおう。

非才ひさいな私こと(・・)モモは、

抽象ちゅうしょうの迷いぬまより、

しっかり(ちゃっかり)した地盤じばんに立つ方を選びたい。

たとえ・・安易あんいであっても。本物になれなくっても、だ。


「学びは、真似まねび。

 物事ものごと

 自己責任じこせきにんだけでは、息がまっちまうだろう。

 なにかのに所為せいにするのも、ときにはりさ。

 ・・ときにはだぜ」

 猪熊いのくま監督も、おっしゃっていたではないか。




※競馬新聞で ◎ は本命をあらわし

 〇 は対抗馬の意味です。ヒヒーン!

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