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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
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オンエアの日

朝の連続ドラマ『サスティーン』は、

安定した視聴率で推移すいいしていた。


そして、本日午前八時、

まんして、

しおり と サウンドステッカーの共演した回が、

オンエアされようとしていた。

かんじんの場面をせる形で、

あきれるほど番宣が流された (某公共放送局)。


ナビはサウンドステッカーがつとめ、

全国放送の強み、

コンビは幅広い視聴者層に、顔を知られることになった。


いよいよオンエア。


コイシツ(・・・・) こと

井箟いのうディレクターの苦心の編集により、

70年代 ━ 伝説のラジオ深夜放送の中で、

かつての人気DJ(共に故人)と

現代の人気DJ(生存中デス)との、

夢の共演が、

AI加工された音声を盛り込み、

VFXのテクノロジーによって実現したのである。

すなわち ケン・ユミ と 汐 坊 が同一画面で、

当意即妙とういそくみょう のやりとりをするのを、

視聴者はの当たりにしたのだった。


このシーンは大きな反響を呼んだ。

「ケン・ユミ」パック をリアルタイムで

聴取していた年配者はもとより、

「ラジオ哉カナ」 のリスナーや、

それ以外の人々をも 瞠目どうもくさせた。


撮影済みのサウンドステッカーの顔に

(47テイクのNGカットもリサイクル)、

今は亡きケン・ユミの顔を

巧みに貼り付け、合成してあり、

没後ぼつご の二人が、

生き返ったような錯覚さっかくにおちいる。

現存する 二人(ケン・ユミ) の映像から、

チョイスする素材をセレクト、

加工するのにひと苦労 ━(徹夜&徹夜の連続) ━ した。

『フォレストガンプ』という映画で、

一躍有名になった手法である。


絵がスムースにつながらないところは、

追加撮影した汐のリアクションをめこんだ。

汐は、演出家コイシツ

感覚的な要求にこたえ、

「ケン・ユミを七色の視線で見つめて」

「気持ちがデングリ返る感じ」

「夢の中をさまようような表情」

「二塁打クラスのアドリブが欲しい」

必要とされる表情を次々と演じ分け、

()アドリブをかろうじて決め、

すべて 一発OK で編集用の素材を提供した。

この手の器用さは

現場ではとても重宝される(こなせる人材は希少である)。


さらに、音声をかぶせたまま、

副調整室に場面を切り替え、

スタッフの動きを

挿入インサートしたりすることで、

隙間すきまを埋め、立体感をだした。


哀しいかな・・

(著名なラジオDJの物まねを持ちネタとする)

芸人コンビ、サウンドステッカーの姿は影も形もなかった。

ただし、テロップのあつかいは

上位にランク(コイシツの 推挙すいきょによる )。


さまざまな感想ワードが

SNSを中心に広がっていった。

〈 テレビまじスゲエ! 〉

〈 テレビはタイムマシン! 〉

〈 恐れ入りました 〉

〈 テクノロジーと ソウル の融合 〉

〈 受信料を払ってやる 〉 などなど。


現代では手垢てあかのついた感のある

合成画面(VFX)も、

使い方しだいで生きる。

演者間のマジックと

創意工夫の幸福な邂逅かいこう

視聴者をわせた。


話題の合成映像は、

動画サイトのあちこちにアップされ、

即座に削除、ときにBAN。

果てしなきイタチごっこを繰り広げていた。


朝ドラ『サスティ―ン』は

20%越えの視聴率を記録した。


初の大台突破であった。


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