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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
35/74

記者会見

翌年に持ち越された

笹森 汐、正月開始の連続ドラマ。

その記者会見が、

某ホテルの《孔雀くじゃく》にて開かれようとしていた。


会見は、

ニコニコ動画で完全ライブ中継される。


延期えんきの説明責任を求める、

ネットの過剰かじょうな反応を熱源ねつげんとした同調どうちょう圧力は

日を追うごとに勢いを増していった。

炎上をおそれた、

制作者側が歩み寄ってきた(ように感じる)会見だった。


早すぎてもダメ!

引っ張りすぎてもNG!

薄氷はくひょう攻防こうぼう

胆力たんりょくためされるパブリシティー(会見)を、

ギリギリのタイミングで仕掛しかけたのは、

京映の銭函ぜにばこ社長である。

今回、ビッグショットは黒幕(フィクサー)ポジションで、

TV局を前面に押し立てた。

自身は裏から新番組を

えない糸であやつろうという魂胆こんたんだ。


社長はスイートルームで、

PC のモニターに目をやり、

部下に囲まれ、

冷房をガンガンにきかせて、

会見の様子を泰然たいぜんと眺めていた。

らしにらしたのち、

メディアを介して

かわき切ったのど(・・)に水分(情報)をくれてやる。

砂漠さばくのオアシス作戦決行。


社長は、

SNSのマイナス反響にうろたえるTV局関係者を、

一喝いっかつした。

「われわれは法に触れたわけではない!

 おどおどする必要まるでなし!」


かわきさええれば、

 ネット囚人しゅうじんどもの小賢こざかしいさえずり(・・・・)なんぞ

 じきに収まるて。

 ただ(そのうち1パーセントに満たない)

 きだめのツルのごとしとうとい声は、

 傾聴けいちょうに値する。

 真摯しんしに吸いあげなくてはいかん」


社長は70を目前にしても、

興行師としてのアンテナを

サビつかせないよう努力していた。


会見の司会進行はテレビ局の制作主任。

彼の指示により、

メディア各社に新番組用のペーパーが配布された。

満席のあちこちから頓狂とんきょうな声がれる。

不意を打たれたときに発せられる変ボイス。


四十代半ばの進行役は冒頭のあいさつで、

番組延期(えんき)陳謝ちんしゃ

および その理由 (映画化)を述べた。


次いで出席者の紹介・・

聖林ひいらぎプロに所属する期待のホープ、

新番組のメイン演出家である南禅寺なんぜんじ 助麿すけまろ

黒ずくめの彼は、眼光をギラギラさせていた。

(演出は三人の複数ローテーション)

演出家の向かって左どなりに・・

笹森 汐

 と

補佐役であるマネージャーの七尾ななお

さらに、

アスリート体形をした、

主要出演者三名(女1名・男2名)が、

れない面持おももちで、おのぼりさん着席していた。

ほか、赤丸上昇中の脚本家、

どんじりに作曲家という横一線の並びである。


マイクを握った進行役は、こまめに水分補給、

ときおり、汗をぬぐいながら、

自信に裏打うらうちされた言葉で番組内容を説明した。


「プライムタイムで放送される新番組名は、

『チャンバラ戦団せんだん(とつ)レンジャー』であります。

わが局では長い歴史を有する、

<スーパー戦団もの>の最新作となります。

大人も楽しめる番組をめざす所存しょぞんです。

22時というプライムタイムゆえ多少の冒険は許される。

子ども向けのしばりを解き放ち、

幅広はばひろい層をターゲットに企画・立案いたしました。

朝の連続ドラマで人気を不動のものにした

笹森ささもり しおりさんを主演ではなく、

あえて、チームの一員として、

キャスティングした(できた)こと。

手前てまえみそとなりますが・・

ここに制作陣の意欲が込められているわけです。

最後に・・

質疑応答は・・

出席者全員の紹介終了後とさせていただきます。

そのむねご協力のほど、よろしくお願い致します」


司会者は、

マイクを置いた。



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