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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
33/90

京映のラッパ

┃今秋のトピックとされていた┃

 プライムタイムわくにて放送予定の、

 笹森 汐(18)が出演する新番組は、

 世間せけん耳目じもくを集め、

 ことのほか、ネット界隈かいわいを ざわつかせていた。

 原因は・・

 制作側が番組内容を一切いっさい提供しない

 シークレット方針を打ち出し、

 無宣伝むせんでんによるパブリシティーを

 進行させていたからだ。

 かようなポリシーは

 ネット民の怒りと好奇心にガソリンを注いだ。

 汐は、いまや、

 トリックスターと呼ばれることも珍しくなく、

 なにかおもしろいことをやってくれるヒト、

 ワクワクさせてくれるヒト、

 期待を集めるグロース株であった。 

 

 彼女の動向に着目しているホットなネット民は、

 なんとか新番組の情報をさぐり出そうと

 躍起やっきになっていた。

 そんな矢先やさきに番組の三か月延期が

 HP内(限定)で発表されたのであった。

 SNSは大荒おおあれとなった。

 > 延期えんきも宣伝の一環いっかんだろう <

 > なんとも、あくどい手を使う<

 > 視聴率の奴隷どれいによる悪(だく)み <

 などと流言飛語りゅうげんひごがかまびすしかった。


さすがに、穿うがった見解というもので、

そこまでのさくろうしない。

大人の事情により新年開始へと持ち越されたのだ。


その理由とは・・

春休みをターゲットに、

彼女の新番組を映画化する話が、

にわかに持ち上がり、

反対意見を蹴散けちらし、急転直下で決定。

京映系で全国公開される運びとなった。

(制作は京映を幹事会社として、

 TV局・聖林プロの三社で請負うけおう)

その最終ゴール設定に合わせるため、

ワンクール(三か月)の延期えんき

不可避ふかひだったというわけ。


TV放送時の勢いを維持いじしたまま、

タイムラグを置かず、

春休みに、

映画館へ大量の観客を向かい入れ、

20億円超えの興行収入をねらおうという

皮算用かわざんようをはじいた

ビッグショット(大物)思惑おもわくたんを発したものだ。

パワフルな人間は現実を強引ごういんに動かしてしまえる。

ある種の政治家のように。


まだ・・

TV第一話の撮影にも入っていない段階において、

・・の決断だった。


大物は京映系シネコン内のドル箱部屋、

キャパの広いシアターの確保も着々(ちゃくちゃく)とすすめていた。


2023年度を例に引く・・

日本映画 (邦画)は年間676本が公開された、

そのうち、興行収入20億円突破した作品は20本程度。

3%ちょいのせまもんなのであります。


なぜ今回?・・お得意のリスク回避、

       「制作委員会方式」を採用しないのか?


ズバリ! ・・もうかるとんだからだ。

       製作費を出資しゅっしすればリターンもでかい。

       資本主義の原理原則。

  

       

日本のDJアイドルは、

マネーメイキングスターでもある。

彼女の新境地に、

名物映画社長の カン働き(・・・・)発動はつどうした、

「この企画はイケる!」と。


聖林プロの”稼ぎ頭”笹森 汐のマネーメイキングの内訳うちわけ

その大半たいはんはCM収入による。

金銭面でいえば、ほかは正直オマケみいたいなものだ。

オマケ(ラジオ・ドラマ・映画)が励起れいきを呼び、

CMへとつながってゆく。


プラスして・・

・・彼女の持つ なぞな 安定感。


かかわった企画を、ほとんどハズさない。

(驚くべきことである)

ラジオやテレビドラマそして映画には、

濃淡のうたんあれど、

数字の内実ないじつともなっていた。

いまだに『お手伝いさんは見た!』みたいな軽いモノでさえ、

サブスク配信されると、

及第点きゅうだいてんを上回る再生数を稼ぎ出す。

ドラマの【続編要望サイト】では

常に上位じょうい尻尾しっぽにランキングされているほど。


「笹森 汐の持つ ポテンシャル と

 ユニークな企画のざんはリスクもあるが、

 下手へたさえたなければ、

 ホームラン(50億超)はムリとしても、

 二塁打(20億)にはなるだろう。

 製作費との比率を考えれば大ヒットではないか!」


常識とは異なる角度から

動物的なカンでもって、

着眼ちゃくがんしたのが、

人呼ひとよんで、

<京映のラッパ>

銭函ぜにばこ 喜一きいちだ。

彼は、表向き人気アニメ・TVドラマの映画化などで、

着実に利益を上げておき、

裏モットー<常識をくつがえす>を辣腕らつわん行使こうしする。

裏こそ本性。有能経営者 兼 博徒ばくと

ミスター・ハイド。ギャンブル大好き人間だ。

無謀むぼうな企画を(あちこちから金を出させ)映画化して、

メガヒットに導いた実績をほこる。

彼は、

傾きかけていた京映を立て直した救世主きゅうせいしゅでもあった。

むろん惨敗ざんぱいも少なからずある。

トータルでは成功が失敗を頭ひとつ上回っていた。

ビッグショット(大物)と言われる所以ゆえんである。


さて・・

令和7年の現時点では、

人間の《直カン》の部分は、

AIをもってしても、

たちうち(・・・・)できない神秘領域。バベルの塔だ。

(将来的には追いついてくるかもしれないけれど)


ノーマルな人間(凡人ぼんじん)のカン(・・)はトータルで

哀しいかな、50パーセントを下まわる。

ジェダイやニュータイプには なれない。

だからこそ、

一般人はデータに重きを置き、

過去例に学びながら、

法律の枠内わくないで、

堅実けんじつな道を歩んでいく(しかない)。

自己幻想を捨てられない者は、

現実のレールからはじかれ、

最悪ニアピン・ケースは塀の中へ留置りゅうちコース。

どん底は・・野垂のたれじに末路まつろで、

無縁仏むえんぼとけとなり果てる。


とはいうものの・・

(神様の気まぐれなのか)

常識ばなれした直カンの持主も、

少なからず実在する。否定できない。

競馬で家を建てた人もゼロではないのだ。

銭函ぜにばこ社長は、選ばれし者。

マレな人種に属していた。


社長は・・

新たに博打バクチを打てる企画に、

エネルギーを注ぐ決意をかためた。

目標から逆算、疾走しっそうしはじめる、

ゾクゾクするプロセスこそが博徒ばくとだましいを燃やしてくれる。

興行成績など所詮しょせんは結果に過ぎない。

いわば排泄物はいせつぶつだ ↓

ちょうの活動なんぞ知ったこっちゃない!


極上ごくじょうの酒を飲み、

うまいものをたらふく食べている瞬間(腸活以前)こそが至高。

美女がいればなお最高。


ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!









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