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31.ミカエル

 今日は初の風間病院でのリハビリが終わって帰るところなのだが。最新技術が凄すぎて驚く事ばかりだった。やっぱり凄いな。


 いい気分でインしたところ、盛大に笑われたのだ。


「ギャハハハハハ! マセラ! お前、マジでネムちゃんとデートしてるじゃん! 進んでるねぇ! リアルには連れて行けないけど!」


「なんすかそれ?」


 バカらさんがみているのは誰がアップしたのか分からないが、俺がネムさんと手を繋いでいるところとか食事しているところとかがアップされていたのだ。


 いや、プライバシーとかどうした?と思うが、取っているのがNPCとだからいいと言う判断になったらしい。よく分からないんだが。


 聞いたところによると何組かのパーティとクランが何日か丸々かけて第四と第五をクリアして地獄ステージに突入したらしい。


「今日は少し遅くなってもいいか? 第四はクリアしときてぇよな?」


「そうやねぇ。クリアしよ」


「ワレは構わんよ」


「僕も大丈夫」


「ワタクシも構いませんわ」


 俺以外のみんなが了承した。


「よしっ! じゃあ行くか!」


「ちょっ! なんで俺に聞かないんすか!?」


「えっ? 無理なの?」


「行きますけど!」


「だろ? マセラは攻略したい人だと思ってるから聞かなかったわ。なんたって昨日もインしてネムちゃんとデートしてんだからよぉ! ギャハハハハ!」


 そりゃ早く攻略してネムさんと暮らしたいさ。そりゃそうだ。その為には早く攻略しなきゃ。


「そうですね。なんなら第五も行きますか!?」


「「「いかない」」」


 俺をおいてみんな先に行ってしまった。

 今日は第四までか。早くクリアしてネムさんのご飯食べよ。


 第四エリアに入った俺達に襲いかかる天使の様子がおかしかった。雲の上を、走ってきたのだ。何故に走る?飛ばないのか?


 試しに笛を吹いてみたが全く作用しないようになっている。対策を取られたような感じだ。なんと面倒な。


 壁の向こうから次々と天使はやってくる。バカラさんも混じって天使と殴り合いの戦いになった。なんと罰当たりな戦いなんだ。


 そう思いながらも壁の何個も乗り越えながら一時間位続いただろうか。


 最終のエリアに着いたと思われた。

 白い要塞からは天使がゾロゾロと出てきたのだ。しかも、上からはレーザーが放たれている。避けながら戦うのはかなり厄介だ。


「シルド! レーザーをガード! アルトはシルドに方向を指示すること!」


「はぁーい」


 バカラさんがすかさず指示を出す。

 流石だ。

 俺は突っ込むしかないな。

 そう思い足に力を込める。


「マセラ、突撃!」


「はっ!」


 トップスピードで突っ込む。

 殴りかかってくる敵を避けては切りつけを繰り返して要塞に近づいていく。

 しかし、レーザーも俺の行く手を阻む。


 もう少しというところでレーザーが目の前に何本もあり、要塞の中に入るのを拒む。

 それでも頭を抱えながら跳躍して転がり込んだ。目を開けるとHPが増えてる。


 ここで着ていた着流しの効果が発揮されたようで光属性の攻撃を吸収したようだ。


「ギャハハハ! やっぱりマセラはもってる!」


 バカラさんの騒ぐ声が聞こえる中、順番に天使を始末していく。これでみんなもこっちに来れる。


 みんなが要塞の中に入ったのを確認すると少し休憩する。この先の天使はどんな能力なんだろうか。


「よしっ! 行くぞ!」


「おう!」


 またしても嫌なくらい神々しい天使が。


『我はミカエル。私の武に果たして勝てるかな?』


 そういうと下の雲に降りてステージのようなところに上がった。


『誰からくるのだ? かかってくるといい』


「マセラ、行け!」


「うす!」


 バカラさんに指定された俺はステージにのった。


『では始めよう』


 そう言われて拳を振り上げてきた。

 俺はそれを避けながら抜t────。


「刀がない!?」


「なんだありゃ!?」


 俺が叫ぶとバカラさんも声を上げた。

 腰に差していた刀がないのだ。


『我には拳でこい!』


「そういう事かよ!」


 迫る拳をスウェーで躱す。

 だが、別に拳で行かなきゃ行かない訳でもないだろう?


「オラッ!」


 僅かな隙を見つけて上段蹴りを放った。

 頭にクリーンヒットする。


「よっしゃいーぞ! やっちまえ!」


 バカラさんのヤジがガラが悪い。そんなことを思いながらも拳をガードする。少し仰け反ってしまった。思ったより拳が重かった。


「くっそっ!」


 目の前には追撃の拳が腹に迫っていた。見えているが反応できない。


「グフッ!」


 腹には衝撃が走り前のめりになってしまう。このままでは俺はデスペナになってしまう。ネムさん……。その時、俺の脳裏にネムさんの笑顔が映し出される。


 俺だって真っ直ぐな人生送ってきた訳じゃない。目立てばそれだけ喧嘩を売られることだってあった。けど、俺も鍛えていたからそんなヤツらには負けなかった。思い出せ。


「っだぁらぁ! まだまだだぁぁ!」


 頭を上げると前蹴りを放つ。少し離れた天使にタックルをかます。その体制のままこちらが押さえつけられる。


「うおぉぉぉぉぉ!」


 逆に天使を持ち上げて。


 下のステージに背中から叩きつけた。


「どうだゴラァ!」


 倒れていたが、まだ起きそうだった天使の頭を足で踏み抜いた。


 ダメージエフェクトが溢れ出してドロップアイテムに変わり、ステージも消えた。


 振り返ると皆が静まっていた。


「あー。勝ちましたけど?」


「ギャハハハハ! 本性を現したなぁ!」


「マセラ、やっぱこわいわっ!」


「ワレは感心した」


「僕……近づくの止めようかな」


「マセラ様の素を見れましたわ」


 なんだかみんな引いていた。


 ヤバいな。昔の血が騒いじゃった。


 後で知ったのだが、あのステージはステータスを一時的に天使と同じにするもので、ホントに真剣勝負だったみたい。

 だから勝てたんだと後から納得したのであった。

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