8
あいつと寝たのは2度目だった。
あいつと寝たのは2度目だった。遠い昔、まだ出会った頃に一度寝たことがあった。あのときはタイキもユキもいてちょっとしたお祭り騒ぎ。若気の至り?そうかもしれない。酔っ払っていたとはいえ。ヨウコの長い髪が彼の肩にあたる。彼女の体温が「生きている」ことを思い出させる。赤く火照った顔と声にならない声。動きのリズム。リズム、リズム、リズム。。。
「あたし行くから。」昼頃に目が覚めると、カーテンごしに光が差し込む。ヨウコはシャワーを浴びた後の下着姿で髪を乾かしていた。
「ねぇ昨日言ってた子のこと。」誰のことやねん。そう思ったけど、タバコを吸うふりをした。
「わかってんの、メグ。」あ、ああ。ヨウコは黒いワンピースを着た。
「そう、それで、あんたのアメリカ人の友達。」ゾーイっていうんやけど。
「そう、来週だから。」わかった。
「じゃあ。」ヨウコはかばんを手に取る。鍵はいいのかよ。
「オートロック。」なるほど。いいマンションだね。って言ってる場合か。そんなに水商売は稼ぎがいいのかよ。今まで何人の男と寝たんだよ。クツが飛んでくる。
「さっさと起きなよバカ。」バカは余計だが、少し嬉しかった。そういうやりとりに変な哀情を感じた。まったくイカレてる。何か言おうとしたけど、すでに彼女はドアを閉めて出て行ってしまっていた。いつもそうなのだ。遅すぎる。
声にならない声。




