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「何しに来たん。」彼女はつぶやく。
「何しに来たん。」彼女はつぶやく。
「言いたいことは、もう手紙で言ったけど。」雨に濡れながら、俺はかばんからその手紙を取り出した。
「これ、ほんまなん。」手紙が小粒の雨に濡れた。
「ほんまって、なにが。」低い声でメグが言う。
「だから、お前なんか。」俺が聞くと、ボソボソと何か答えてる。
「だからさ、メグがやったんか。なんでやねん?」俺はもう一度聞く。
「だから、あんたのせいやろ。」彼女は急に声を張り上げる。
「わかってる。」そう、すべては俺のせい。
「わかってないわ。」警察に行ってもいいんやぞ、とは言わなかった。代わりに、雨でグチョグチョの地面にヒザをつく。
「そんなことして。」俺は地面に頭をこすりつけた。
「わるかった。」俺は叫んだ。何度も叫んだ。大粒の雨が降ってきた。何度も地面に頭をこすりつける。
「もう、やめてや。」メグは静かに下を向く。俺は大声で謝った、色んなものに対して。
「わかったから、行って。近所迷惑や。」俺は顔を上げる。雨が少し小降りになった。
「これ。」俺は泥だらけで立ち上がる。そして自分で書いた手紙を渡そうとした。そこにはアメリカの写真も入っていた。
「いらん。」メグはそう言うと、それをグチャグチャに丸めて投げ捨てた。そして家の中に入ってドアを閉めた。
「すまん。」俺はつぶやく。そして地面に落ちている封筒を見つめた。雨は止んでいた。
バイクのエンジンを再びかける。川沿いを走っていく。風の音がする。後ろには彼女が乗っている。今はもう怖いものはない。スピードは落としたが、逆に自由に走れるようになった。アスファルトの道も、砂利道も、雨の道もすべて道には違いない。タイヤを痛めることもあるし、ガソリンが切れることもある。それでもときにピットインしながら、彼は走っていく。風を友達にして。視界は良好だ。
視界は良好だ。




