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彼女は8度目のリンで電話に出た。
「はい、もしもし。」彼女は8度目のリンで電話に出た。
「出た。」俺は思わず口に出していた。
「もしもし!?」少し威圧的な言葉尻がヨウコの強気な性格を表わしていた。
「あ、もしもし、オレやけど。」
「ん、ちょっとオレって誰?」
「オレ、ススム。」多少口篭もりながら、俺はようやく自分の名前を再発見した。
「お、おお、スッスム。」そのあと、ヨウコはしばらく黙っていた。その沈黙が怖かった。
「あのもしもし?」俺はドギマギしながら声を出す。
「ちょっと何してるんさ。大阪?」ようやくヨウコの声が聞こえて、ホッとした。
「いやぁ、久しぶり。大阪やけど、ヨウコ、そっちはどうしてるん。」
「もっと早く電話してきてよ。」その声はつっけんどんだったが懐かしくもあり、はかなくもあった。俺にとってはそうだった。
「おおわるい、ちょっと忙しくてな。」そう言えば誰もが納得する。
「日本に帰るって、手紙出したよね。ちゃんと届いてるんでしょ。」
「つーかお前、どこにいるん?」俺は気まずかった。
「つーかあたし、大阪にいるよ。十三。」
「え、すげー近いやん。」
「だからさ、そっちの番号通じないし。メールしても連絡つかないから。これって家の電話?」
「そう、ちょい前に実家に戻ったから。携帯止められてるからな。」
「なにやってるの。」電話ごしからでもほんとに呆れられているのが伝わってくる。それでも、いいから会おうよ。ということになった。
「そう、ちょい前に実家に戻ったから。携帯止められてるからな。」




