表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憂鬱やんボサノヴァ  作者: ふしみ士郎
46/53

46

「久しぶりやん、ニイちゃん。」はい、とだけ俺は答える。


「久しぶりやん、ニイちゃん。」はい、とだけ俺は答える。

「夏休みかー、ええな。」おばちゃんはそう言うと、シワだらけの手でカレーの入ったドカンを運んだ。

「子供たち待ってるで、お腹すかして。」そうすね、俺は30個のドカンをトラックに詰め込んだ。

「ようニイちゃん。そうか夏休みも終わりか。」交野さんが声をかける。

「だいぶ焼けたな。海か。」いえ外でバイトやってて。

「そっか、暑かったやろ。」そうですね。

「味噌汁忘れたわ。おー焼けたな、にいちゃん。」清原さんは忙しそうに走っていく。

「部長に挨拶したんか。」平山さんがゆっくり俺の肩をポンポンと叩く。

「あ、さっき行ってきました。」経理のお姉さんは休みでしたけど。

「にいちゃん知らんかったか。」え?

「事務の彼女、部長と不倫関係やってな。」え、そうなんすか。

「奥さんに見つかって、辞めさせられたんやって。」おばちゃんが嬉しそうに言う。

「びっくりやな。」平山さん。

「部長も元気やで。」おばちゃんが声をひそめて言う。

「おれなんてもうそんな元気ないけどな。」平山さんはそう言いながら笑う。

「あたしゃまだまだ働くで。」カッカッカっと元気に話すおばちゃん。

「あんたもがんばってや。」はい。そうするしかない。



変わらない日常と、居心地のよさ。そして少しの変化。彼とナホの同居生活。薄汚れた町の片隅。木造アパートだったが、トイレはちゃんとあったし、広さもそれなりだった。何より部屋が畳だったのでくつろげた。何かを犠牲にすれば、何かを手に入れることができる。カラスが鳴いている。黒い羽をバタつかしている。不吉な雲が流れてくる。相変わらずカンカラコンと空き缶は転がる。遠くで犬が吠えている。風は?ない。



変わらない日常と、居心地のよさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ