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「ばいばい。」ユキに対して、俺は。
「ばいばい。」ユキに対して、俺は。
「体、気をつけて。」空港には人ごみはなかった。
「あたしら、ちょっとそっちにいるから。」ヨウコが気をつかう。タイキがヒューっと口笛を吹く。
「ごめんな。」俺は、いつも謝ってばかりだ。
「おす。」ユキはそう言うと、俺のお腹をグーで殴る。
「帰ってくるな、バカ。」空港はアメリカの匂いがした。
「日本で会えるやん。」俺は重い荷物をその場に降ろそうとする。
「バカ。」涙目の彼女は、すでに子供を産めなくなっていた。
「ユキ。」俺は彼女を抱きしめる。子猫のように丸くなるユキ。
「ススム。」俺はキスをする。アメリカにしては静かな日だった。
「お待たせ。」と、しばらくしてあいつらが声をかけてくる。
「さーもう行きぃさ。」ヨウコがユキを抱き寄せる。タイキはなぜかニヤニヤしている。その後、奴がメキシコで行方不明になるなんて思いもしなかった。
「ばいばい。」ユキがもう一度そう言う。俺は何も言わずに手を振る。それが最後の姿とも知らずに。
彼女はそれから体調を崩し、精神的にも崩壊していく。アメリカの病院を訪れるどころか、彼には電話で話すこともままならない。馬鹿みたいに日本で就職活動にいそしんでいたのだ。現実の重み。生活の循環。愛情の欠落。結果として、誰かを失うことがあっても仕方のないことだった。航海の海に出たのはいいけど、公開された後悔は思った以上にキツカッタ。で、こんな結末。1年後にも、10年後にもたいして変わらない内面。
で、こんな結末。




