43
「人の相談のってる場合ちゃうけど。」俺はカキ氷をほうばった。
「人の相談のってる場合ちゃうけど。」俺はカキ氷をほうばった。日曜やけど人は少なかった。
「ほんまやで。」シンジもプールサイドに座り、カキ氷を食べてる。夏も終わろうとしていた。
「で、ストレートに聞くけど、お前不倫してへんよな?」俺がそう言うと、シンジはカキ氷を吹き出した。
「は、なに言い出すねん。」焦るところがあやしい。
「いやぁ、ノブとかもさ年上の女とうまくいってるらしいし。」俺はそ知らぬ顔で話す。
「え、若菜ちゃんは?」もう別れたんちゃう。
「そっか。」いや、そっかじゃなくて。
「いやだから、お前もさ。いい女があらわれたらヒョイヒョイと。」
「なに、お前それミユから聞いてくれっての。」ま、それは内緒です。
「いやいや、だからさ。」言いにくいやろうけど。
「ああ。っていうか、してないし。」ん。
「するわけないやろ、空もいるのに。」そうか。
「当たり前や。」それならいいねんけど。信じるしかない。
「なんなん。」知らんけど、一応きいとかんとな。心配してはったで奥さん。
「人の心配するより自分の心配しろよ。」たしかに。
「まいったな。」カキ氷を食べ終わると、頭がキーンとした。
「いや、まいってます。」俺は頭をかかえた。
彼は腹をくくって、そのことと向き合うことにした。このまま子供ができても幸せにできるとは思わない。簡単に「YES」と言うわけにはいかないのだ。もう子供じゃない。かつては物事を簡単に考えて、「大丈夫。」なんて言ったもんだ。責任の重さも知らないで。その結果、ユキは子供を生もうとして、しかもそれは彼の子供ではなくって。結局、すべって消えてしまった。跡形も泣く。彼の心にだけ残って。世の中にはデキチャッタ婚も多いし、妹やシンジだってそうだ。くうちゃんはそうやってこの世に生を得た。だけど彼はそこまでたどり着けそうになかった。しかも彼が今愛しているのは、ナホなのだ。メグにはわるいが、そういうこと。すべてのことを信じられないにしても、自分の人生は信じるしかない。
しかも彼が今愛しているのは、ナホなのだ。




