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俺の携帯が鳴る。ゾーイからだった。
「そっか、ええんちゃうかな。」ヨウコは笑った。
「そうなん…や。」メグがその横でつぶやいた。
「同棲っていってもさ、すぐちゃうけど。」俺は歩きながら言う。
「どこに住むん?」ヨウコはメグの肩を抱きかかえるようにして言う。
「うーん、ウチからもナホん家からもそう遠くない場所。あたりで探してる。安アパートになるかな。」俺の携帯が鳴る。ゾーイからだった。
「あ、もしもし、Hey. Yeah, I’m just coming. Sure, she is coming, too. And, Meguね。あ、今からすぐ着くし。」
「ゾーイ?」そうそう。
「お前のこと気にしてるで。」
「もてる女はつらいね。」なんやマネすんなや。お前ゾーイとうまくいってへんかったんか。
「そういうわけちゃうけど、ちょっとお灸をね。」そのへんのさじ加減、さすが。
「大丈夫?」ずっと黙ってるメグに話しかけるヨウコ。
「あ、うん。」どうしたん。
「あたし、やめとこっかな。」立ち止まるメグ。ヨウコと俺も止まる。
「なにが?ゾーイのとこ?」歩道に3人並ぶ。
「アメリカ行くの。」え?
「なに言い出すんメグ。」ほんまやで。
「いや、あたし、実はさ。」
「なに?」ヨウコが聞く。黙ってるメグ。
「オレ、はなれてよっか?」俺が言うと、メグは口を開いた。
「できちゃってん。」え?
「できたって、なにが。」まさか?
「そう。」マじかよ。
「誰の子。」ヨウコが聞く。するとメグはじっと俺を見る。
「そんな。」アホな。
ウソかマコトか。ホントかウソか。味方か敵か。なかなか判断しがたい事態というのはある。ましてや。父親は誰だろう。え、まさか。まったく、しかしメグの言うことは本当で、彼女は妊娠していた。一人でおろして、アメリカに行くつもりだったのだ。誰にも相談せず?そんなバカな、と思ったけど、彼女は勝負に出た。「同棲」って言葉を聞いて、メラメラと燃え上がった炎。怖いものは多々あるけど、女の嫉妬ほど怖いものはない。これはばあさんの言葉じゃなくて実体験。どーせーいうねん。などと言っている場合じゃない。
などと言っている場合じゃない。




