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憂鬱やんボサノヴァ  作者: ふしみ士郎
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「親といつまでも同居って。」どうなんやろ、ナホはそう言った。


「親といつまでも同居って。」どうなんやろ、ナホはそう言った。

「どういう意味?」俺は夜空を見上げた。三日月だった。

「んーん、なんとなく。」何かあったのか?

「そういうわけじゃなくて。」横ではミドリちゃんが車椅子から黒い川を見ていた。

「あれ、あれ。」ミドリちゃんが何か言っている。

「どうしたん、ミドリ。」ナホが優しく聞く。

「さかな。」夜に泳ぐ魚?ミドリちゃんみたいやな、と俺は思う。

「ほんとや、おさかなさん。」ナホがつぶやく。ほんまや。

「ねぇお姉ちゃん、泳いで。」ミドリちゃんが言う。

「泳ぐ?あたし?じゃおよごっか。」ナホが俺のほうを見る。

「アホか。」俺はTシャツを脱いで、ためらわず川に飛び込む。

「ススム。」ナホが叫ぶ。

「すすーむ。」ミドリちゃんもキャッキャと笑っている。

「気持ちいいで。」少し冷たい。俺はバシャバシャと水をかける。

「やめろ。」ミドリちゃんも叫ぶ。

「ちょっとやめて。」ナホの叫び声。

「冷たいやんか!」ナホとミドリちゃんが笑う。

「およげるで。」俺はスイスイと泳いでみせる。

「ススムすごい。」ナホが言う。

「おさかなさんみたいやな。」ミドリちゃんが笑う。夜の魚。



両足と片腕がほとんど動かないミドリちゃんの人生。まわりが水のように優しければ、彼女だってスイスイ泳いでいける。だけど時には激流があったり、水が涸れてしまうこともある。そうなると彼女はまな板の鯉になってしまう。それを裁くのが世の中ってやつで、食べるのは悪趣味な金持ち連中?彼はそれを見ている観客・・・もしくは二匹目のどじょう。でもナホは家族だった。


でもナホは家族だった。

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