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ポッカリ開いた穴は、ずっとあきっぱなし。
ポッカリ開いた穴は、ずっとあきっぱなし。今だってその空白を埋めることはできない。もちろん忘れていることはある。でも胸のどこかに穴があって、その穴の中に入りたくなることがある。自分に負けそうになったとき。ユキやタイキ、ヨウコとの出会いはそれを一瞬忘れさせてくれた。彼は「もしかして。」って思った。なのに、結果として残ったのは、より大きな穴だけだった。アメリカは白い画用紙というよりは、彼にとっては黒いブラックホールだった。
「アメリカ、行こうと思うねん。」メグは電話ごしにそう言った。
「ニューヨークかロスか迷ってるけど。」え?
「どっちがいいかな。」っていうか、就職活動は。
「うーん、うまくいかないっていうのもあるし。あとはしたいことを見つけたいっていうか。」したいこと。
「うん、まだまだ自分のことわかってないから、あたし。」いやそれは俺もそうやけど。
「だってススムはアメリカ行ってたやん。」それはそうやけど。
「ヨウコにも色々話し聞いたら、なんか自分も行きたくなってきて。」なるほど。でも英語とかは。
「ちょっとくらい話せるし。語学留学やから。だから詳しく話し聞かせてくれへん?あかん?」あかんくはないけど。
「じゃあさ、お願い。」うん、わかった。じゃあゾーイも連れて来ようか。
「うーん、ゾーイにはまた別で頼むわ。ややこしいし。お金のこととか聞きたいから。あ、あとアメリカの写真とかあったら持ってきてほしい。」わかった。
「ありがとう。」うーん、俺は賛成も反対もしないけど。
「けど?」よく考えたほうがいいかもな。
「そうかな。」うん。
「なんで。」なんでも。
うーん、俺は賛成も反対もしないけど。




