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久しぶりのヨウコの水着姿。
そして与作は木を切る。車は夏を一直線に突っ切る。いつものように京都を越えて、大原から福知山、そして舞鶴から小浜あたりに抜ける。そこらへんがヨウコの地元らしかった。すっかり田舎になった道をサクサクと進んでいく。ビーチで一泳ぎする。久しぶりのヨウコの水着姿。焼けたくない奈津美さんは泳がなかった。「温泉に入ってから。」ヨウコの実家に行く。海の匂いが全身をおおう。夜に蚊取り線香が似合う町。
「さすがに初めてやな、お前ん家は。」ヨウコは短パン姿にビール片手で花火が映える。
「いらっしゃいませ、片田舎でございますが。」俺はビールを飲みながらおしんこをつまむ。
「ほんといいところやね。海のそば。」潮の香り。奈津美さんは浴衣姿。
「ほんまほんま。」それに見とれるノブオ。気持ちはわかる。
「お母さんに、ありがとうって言っといてな。」ヨウコは片親だった。
「直接言ってくだされ。すぐそこにいるから。」いつになくリラックスしてる。
「お子さん、っていくつなん?」ノブが思い切って聞いた。
「え、えーっと、もう16歳。高校生の女の子。」奈津美さん、お見事です。
「かわいい子やよ。」ヨウコがつぶやく。
「そっか。」ノブもつぶやく。
「じゃあオレにもチャンスあるわけや。」俺はつぶやく。
「ナカノススムさん。」わかってますよ、アベヨウコさん。
「ごめんなさい、もう明日帰らんと、待ってるから。」なぜか沈みこむ奈津美さん。
「ほら、花火。」俺はテンションを上げる。
「そうそう。」ヨウコも花火に火をつける。
「はい。」ノブオが新しい花火を奈津美さんに渡す。
「ありがとう。」奈津美さん少し涙目。
海の匂いが全身をおおう。




