3
「おお、千夏。こんな所で会うとわ。」晃一の前に、女の子が立っていた。
「ねえ。」
「あ?」
「おお、千夏。こんな所で会うとわ。」晃一の前に、女の子が立っていた。
「まさかだね。コウイチ。なんか変なこと喋ってる子たちがいるなって思っててん。」
「なにしてんねん。こんなとこで。オレんちわりとこの近くねん。」
「そうなんや。ウチはこの子の家に遊びに来ててん。」彼女が振り向くと、そこには七分丈シャツの女の子がいた。
「こんにちわ。」
「この子ナホっていうねん。小学校のときの友達。」
「どうも。こいつ、ススムって。中学のツレ。」
「へーそうなんや。あたし、チナツです。ね、コウイチ君。」彼女が俺のほうをチラッと見る。
「何がクンやねん。千夏ってバイト先の変なやつ。」
「誰が変やねんな。どうもはじめまして。」どうも。
「駅前の弁当屋さんで働いてるんで、よかったらまた来てください。」
「おれ、たまに行きますよ。」俺は答える。
「ほんまに、またウチがおったら声かけてくださいね。」
「よう、千夏。おれらバイクで来てるねんけど、一緒に乗ってかへんか。前から乗りたいって言ってたやろ。メットもあるし。」
「ほんまに!うれしい。あ、でもナホどうする。」
「あたし、買い物あるから。チナツ乗っていき。」
そうやってやんわりと誘いを断る。そのやわらかさが彼女の人柄を示している。そしてドアは閉じているのだろうか。閉じたドアの鍵は見つかるのだろうか。そしてあるのだろうか。いや彼女は女の子だし、きっと世渡りも上手くて、彼氏もちゃっかり作ってしまうようなタイプなのかもしれない。しかし本当のところは、彼女こそが孤独の中に暮らしていて。本を読んだり映画を見たり自分だけで何かをするのが好きなごく一部の女の子の一人で、誰とも交信できない自分の世界の中に住んでいるのだった。そして俺はといえば、ユウツな楽園の風だけをトモダチにしてどこ行くあてもなくバイクで走っていく。
ユウツな楽園の風だけをトモダチにしてどこ行くあてもなくバイクで走っていく。




