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ばあさんがもう一つ嫌いなのはメソメソと泣く女だった。
女が泣くと男は何もできない。ばあさんがもう一つ嫌いなのはメソメソと泣く女だった。明治の女だった彼女は耐えしのぶことが仕事だった。「心で泣いても、顔では笑っていなさい。」そう母さんに教えたという。ババアのいうことをイチイチ信じる気にもなれないが、一理あることもたしかだ。彼女はこうも言った。「男は度胸、女は愛嬌。死んだ人にはお経。」だからか母親は毎日のようにお経を唱えている。きっとあっちの世界で、ババアも泣きながら喜んでいることだろう。
きっとあっちの世界で、ババアも泣きながら喜んでいることだろう。




