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憂鬱やんボサノヴァ  作者: ふしみ士郎
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「くうちゃん、自閉症やねんて。」妹が紅茶をいれながら言う。


「くうちゃん、自閉症やねんて。」妹が紅茶をいれながら言う。

「え?」俺は思わず声を上げる。

「自閉症って。ひきこもり、みたいなやつやろ。」紅茶をテーブルに置いて妹が答える。

「うーん、なんかちゃうねん。アスペルガー症候群っていう発達障害。」障害…くうちゃんが。

「うん。人とコミュニケーションとるのが難しいとか。モノを覚えるのが遅かったり。逆に天才的なところもあるらしいねんけど。」

「そっか。」そんなの気づかなかったけどな。

「うん、まだ小さいからわからんみたい。子供やから。」そっか。

「でもたしかにってところもあるんよね。」妹はそう言うと、じっと一点を見つめた。

「それで、どうなるん。」俺は妹が入れてくれた紅茶を飲む。

「お医者さんが言うには、やっぱりなるべく親がフォローしていくしかないみたい。学校とかは行けるけど、他の人とちゃうからイジメとかにもあいやすいみたいやし。今はまだ幼稚園やからええけど。」そこまで妹が言うと、向こうで寝ているくうちゃんがクシャミをした。俺と妹は思わず笑ってしまう。

「なんやろ、ウワサに気づいたんかな。」本人は意外と気軽なもんやな。

「ほんまやで、親の心、子知らず。」たしかに。で、シンジは何て?

「うん、最初はショックみたいやったけど。」うん。

「受け入れて、愛してあげるしかないよなって。」妹はそう言うと、かすかに目をうるませた。妹が泣くのを見るのは、高校生のときに飼っていたインコが死んで以来だった。あのときは一日中ワーワーと部屋で泣いていた。

「できることあったら言ってや。」俺はそう言って立ち去る。

「うん、ありがとう。」玄関で彼女は母と妻と妹の間で、かすかに揺れながら笑ってた。



あのときは一日中ワーワーと部屋で泣いていた。

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