21
「Susumu. 向こうから?」彼女の短い髪の毛が揺れる。
「Susumu. 向こうから?」彼女の短い髪の毛が揺れる。
「Hey, can you see it, Taiki, Yoko?」俺は叫ぶ。
「Mother Fucker, man. 見えないっつーの。」タイキが吠える。
「じゃあさ、Let’s jump together, guys. One, two, three!」なに言ってんだか、ヨウコ。
「向こう行こうよ。」ユキの肩を抱く。ソウルフルな歌声が聞こえてくる。
「あー金髪の姉ちゃんたちさ、背高いんだよなみんな。」タイキとヨウコはタバコを交換しあっている。
「そいでもって、デカ尻の黒人おばちゃん!」ビールを飲みながら俺はユキの胸を触る。
「Hahaha. Watch out, Susumu!」胸から手をどけてとユキが言う。ヨウコが振り向く。
「あれ、ちょっと血でてるよ。」あれ、ほんと。俺のヒザから真っ赤な血が出ている。
「なに、どうしたの?」知らないって。突然。
「Are you all right, Susumu?」タイキが歌うように叫ぶ。
「ああ、大丈夫やと思うけど。」あいたたた。
「ちょっとススム、大丈夫。」あれ?
「Jesus.」
「ねぇ、ちょっと。」ん、ん、ダメかもしれない。
「おーいぇー。」おーいぇー。おーいぇー、おーいぇー、おーいぇー
血はゆっくりと足元を流れて、黒い大地に吸い込まれる。彼女たちの見ている前で。それは次元の海を超えて、あちらの世界につながっている。それともあっちからこっちに流れてきたのだろうか。彼には判然としない。死神に聞いてみるしかないが、今や奴の連絡先は消してしまった。すべての携帯アドレスを消去してしまった。もう会いたくなかったのだ。二度とあいたくない。奴はいつも誰かを連れて帰ってしまうから。
二度とあいたくない。




