表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憂鬱やんボサノヴァ  作者: ふしみ士郎
13/53

13

「ハロー、マイネームイズ、YOKO」かわいこぶってんちゃうぞ。


「ハロー、マイネームイズ、YOKO」かわいこぶってんちゃうぞ。

「いやいや、ゾーイは日本語ペラペラやから。」俺が言うと、ヨウコは片目をつむってみせる。何のマネやねん。

「ペラペラノニンゲン、デスカ、ススムくん。」ゾーイのジョークだ。

「えと、こっちがゾーイで、こっちがヨウコね。オレはススム。」俺はもう一人の女の子を見る。

「メグちゃん。魔女っ子。」ヨウコが言う。なんかしらんけど。かわいい子だ。

「トリアエズ、ヴァモス!」なぜかスペイン語で掛け声をかけるゾーイのテンション。それが梅田の夜にこだまして、はね返って俺の中のアメリカにぶつかる。

「やめてよ、まだ1年と少ししか経っていないし。」飲みながらヨウコが言う。

「いやオレのこと忘れたかと思ったよ。」俺はビールに口をつける。

「あれから、あんたが連絡くれないからさ。」真剣な表情のヨウコ。

「モトカノ?」ゾーイが聞く。

「ああ、まったくちがうけど。色々あって。」たしかにアメリカのビールより味が落ちる。気候のせいか、自分のせいか。

「そうそう、まったく、ちがう。」ヨウコはタバコを吸う。

「チャイまっせ。」ゾーイがおどけて言う。

「そっか、じゃあススムさんは彼女いないの?」それまで静かだったメグが喋る。

「ちょっとメグ、積極的だね。」とヨウコ。

「ススムさん、キカレテマスヨ。」わかってますよ、ゾーイさん。もちろん、いない。今は、彼女は、いない。

「そっか。」メグは何気に短いスカートをはいている。俺はそれに気をとられすぎて、後でゾーイやヨウコに笑われた。



「少しは節操を持ちなさい。」カエルのおっかさんにそう言われた。それで彼はうなづいて、手足がもげた状態で泳いでいく。まるで原初の製紙工場における静止した状態の精子が、制止を制して生死をさまよう、みたいな戯言。「生きてることの意味を考えるより、よりよく生きていきなさい。」おっかさんはそうも言った。でも彼はそれを理解するまでに半生を費やした。それからあとの時間は反省に費やした。オタマジャクシの一生だ。



オタマジャクシの一生だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ