12
「ようどうよ、調子は。」調子ってほどのもんはどっかに置き忘れた。
「ようどうよ、調子は。」調子ってほどのもんはどっかに置き忘れた。
「まぁな。」俺が実家に帰ると、妹とその夫のシンジがいた。
「お兄ちゃん、仕事見つかったんやって。よかったな。」姪っ子のくうちゃんの頭をなでる。小さくてやわらかい、そして純粋な瞳。
「よかったやんススム。」ソファで姪っ子を抱っこしながらシンジが言う。
「おう配送よ、給食の。」何も恥ずかしがることなどない。
「ウケるわ。あの幼稚園って。」ほんまやで。しかもくうちゃんも行ってる所なんて。
「ほら、給食のおじさんだよ。」妹が言う。
「うるさい、大阪で生まれた女。」くうちゃんが笑った。
「なにがやねん、そのままやん。おもんないねん、アホちゃう。少しは自分の足元見たら。」足を蹴られて、陰悪なムード。すると姪っ子が突然騒ぎ出す。
「ほら、ちょっと向こう行って遊んでような。」妹が隣の部屋に行くと、俺はシンジと二人に。奴は俺の大学時代のツレでもあった。
「どうやねん。」俺は冷えたビールを出してきてシンジに手渡す。
「何が。」シンジは疲れた顔をしていた。
「くうちゃん。」姪っ子がどうもおかしいと気づいたのは母だった。「ちょっと病院行ったほうがええんちゃうの。」と言っていた。
「そやな。」シンジはビールに口をつけると言った。
「病院行ったけど、まだ小さいからわからんみたい。様子見やねん。」病院なんてどこまで信用できるんだろう。俺は病院と銀行だけは信用しないようにしている。かつてばあさんも「その二つには気をつけよし。」って言っていた。彼女の京都弁はステキだった。
「そっか。」俺は缶ビールをあける。
ヨウコから電話があった。それで梅田でメグって子と会うことになった。彼女の名前も梅田恵だった。ヨウコがゾーイを連れてこいとしつこいので、奴にも連絡をとった。ゾーイはアメリカ人のツレで、彼にとって唯一の遊び相手だった時代もある。かつて晃一がサラリーマンになって忙しくて会えず、彼は彼でトマト畑で働いていた時代。今から考えると、ゾーイと出会って外国への扉が開かれ、それからヨウコやタイキ、ユキたちとアメリカに行こうってことになった。ある意味、すべては出会いから始まり、終わりはいつでもグッドバイ。まだまだ別れの数が少なくて、それゆえ一つ一つの重みに執着を重ねてしまう。そんな時代の物語。
そんな時代の物語。




