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私は義妹なのでスケベ欲求に必死で抗う!

作者: 蹴神ミコト

23時30分~朝4時前に書いてしまった深夜の悪ノリ満載作品です。

少し前に書いたネタの反動で親が無責任すぎるの書いたのが本作になります。


親がしっかりしている短編はこちらです。一部のラブコメ好きにぶっ刺さるといいな。

https://ncode.syosetu.com/n3392hf/



 私の通う高校、私立炊飯器学園には人類の上位種のような人がいる。



 私と同じ2年生の長門覇王様ながとはおう。2m近い長身に100kgを超える巨神。

 どこの運動部でも全国どころか世界制覇ができそうなフィジカルを持つ超人中の超人だ。

 テレビ番組でパワー系競技の現役金メダリストと腕相撲して瞬殺した時はマスコミが押しかけてヤバかったね。学校に入れなくてほとんどの生徒が遅刻した。


 そんな彼は存在感がヤバい。目立つという意味ではない、いや体格はもちろん目立つのだがそうじゃない。

 存在の階位というか、生き物としての格のような物が違うのだ。

 スポーツ万能男子とか女の子たちが恋人の座を争うはずなのに覇王様はそうじゃない。彼に近寄った女の子は格が違うあまり抱いてほしくなってしまうのだ。服従したいって感想もよく聞く。何がヤバいって全面的に肯定できるからだ。ヤバい、抱かれたい。



 なお学園女子の秘密アンケートでは覇王様は『抱かれたい男ランキング』で1年間ぶっちぎり1位を達成し†【殿堂入り】めちゃくちゃにしてほしい雄【長門覇王様】†になった。分かる。同意しか無い。

 絶対者である覇王様に嫌われたくないのでどれだけ思いが強かろうと距離をつめる女の子は居ない。高嶺の花というか触れがたき神仏というか、まあ覇王様から来てくれるなら断る女の子なんていないだろうけれど。

 そんなわけで私も遠巻きに眺めている、席が近い子はいいなぁ。私はクラスすら2つ離れているよ。






 ゴロゴロ



 高校2年の4月土曜朝、ベッドで転がりながらゲームをする私に母が話しかけてきた。


 母はとても無責任だ。ちゃらんぽらんな人間だ。あれを大人とは認めたくない。

 母の会話とか適当に聞き流して生返事でもしておけばいいのだ。



「志保ーお母さん再婚したんだけど、これから相手の連れ子がこの家に住むから後はよろしく。お母さんは新しい旦那様と海外に行ってくるわね。」

「うん、わかったー。」






 …いや待て今変な事を言われなかったか?再婚?連れ子?親は海外?



「え、聞き間違いでしょ。きっと。」



 唐突すぎて信じたくない、とんでもない言葉が聞こえた気がした。起き上がって母に確認をしようとするがもう家にいなかった。電話?あ、また連絡先変更したな繋がらない!時々告知も無く全ての連絡先を変更するのなんなのアレそういう病気なの?




ピンポーン



 呼び鈴が鳴る。まだ心の整理ができていないので宅配便であってほしい。連れ子は2時間後くらいに来てほしい。

 連れ子かぁ…あの母の再婚相手ってことは確実にヤバい人間だ、ということは連れ子はおそらく不憫な子だろう。私だって一人で生活できるように家事万能になってしまったし。

 もし連れ子が弟か妹ならめいっぱい甘やかそう、私が親の分まで愛を注ぐのだ。ちゃらんぽらんな親の子先輩として。



ピンポーン



 あ、対応忘れてた。玄関に行かなきゃ。誰だろうかこのおんぼろマンションへ来たのは。



「すみませんお待たせしまし……覇王様!?」

「その呼び方は同じ学校か…長門覇王だ、よろしく頼む。」



 わが校、いや人類が誇る上位種がそこにいた。

 よ・ろ・し・く? え、まさか連れ子って覇王様!?



「あの、長門覇王様ですよね?もしかして親が再婚して家がここになったりしました?」

「様はやめてくれ…非常に申し訳ないのだが俺の無責任な父親の再婚相手がこの家だと言われたよ。」

「ああ…そちらも苦労しているようで…」



 覇王様を家に上げ話し合いから始める。誕生日で覇王様が義兄、私が義妹。苗字は覇王様の方になるので長門覇王と長門志保。

 私は親がアレで家の事は自分でできるようになって家事が得意、覇王様は親がアレでいつ住む場所がなくなってもいいようにサバイバルが得意、体も鍛えるうちにこうなっていったとか。

 …いや、体鍛えてこうなるなら運動部は階位みんな上がりますって。肉体はトレーニング以上に遺伝か突然変異の類だと思います。



「それにしても覇王様とここまで話が弾むと思いませんでしたよ。」

「似たような親で苦労したからな…様はやめないか?」


うーん、候補をあげてみよう。


「覇王くん?お兄ちゃん?お兄様?ご主人様?マスター?」

「俺が女子と話すとみんな壊れるのなんなの??」



 今後同じ家に暮らすなら教えたほうがいいのかも?いやでもそれで抱かれたい思いがバレたら私嫌われるかも……ああ、怖い、怖いけど…まともな家族が初めてできたんだ、私の保身よりも…うん。



「覇王…くん?女の子がおかしくなる理由を言うとあなたは私を嫌いになります、たぶん女性不信にもなります。それでも聞きたいですか?」

「そこまでの理由があるのか…志保の事は嫌いにならん。少し会話しただけでまともだと分かる家族だぞ。大切にしたいと思っている。」



 くっ、覇王くんの『大切にしたい』がやばい、一言で心を掴まれる。



「覇王くんは………スポーツとか凄すぎるでしょ?学園の男子どころか人類じゃ絶対に勝てないんじゃってくらい凄いでしょ?」

「自分で言うのもなんだが…まあ、そのくら突出していると思う。」

「だから女の子は覇王くんの事を…生き物として格が違うとか、生命体として階位が違うとか、絶対的なご主人様とか思っているの。」

「は??」


「ぶっちゃけると、女の子は覇王くんに本能的に服従したくなっちゃって、抱かれてめちゃくちゃにされたいとみんな思っている。」

「………マジで?」

「そして万一嫌われたりでもしたらと思うと怖くて様付けで適度に距離を取ってだれも近づこうとしないの。」

「それは心当たり…ある、みんな距離が遠い…マジで?…マジかぁ…」

「覇王くんに嫌われるとかドラ〇もんと孫〇空とプリ○ュアに『長門覇王くん嫌い』ってフルボイスで言われる10倍キツイんですよ、女の子には。」



 絶対強者が肩を落としてしょんぼりしている。気晴らしに私を慰み者にしてもいいんですよ?



「じゃあさ、俺が女の子と仲良くするって難しいの?」

「……ぶっちゃけ、女の子は覇王くんを愛でも恋でも無くて『肉欲』や『ご主人様』として見ているので難しいかと。」

「俺、恋できないのか…」



 すっごい落ち込んでいる。慰み者になりたくなる。



「俺さ、父親があんなのだからちゃんとした家庭に憧れていたんだよ。幸せに恋愛してドキドキしたりしていずれ幸せな家庭にって…」

「覇王くん、結構ロマンチストだったんですねぇ…私は逆に1人で生きていくつもりでしたが。」



 まあ、自分の身よりも覇王くんことまともな家族の力になりたいと彼の状況を白状してしまったあたり。心の底では私も家族を求めているのかもしれないけど。

 そんな時ぐぅぅと覇王くんのお腹が鳴った。



「覇王くん好きな食べ物ってありますか?作りますよ?」

「猪野草鍋って作れる?」

「豚ほうれん草鍋みたいに言わないでくれます?」



 文明人の食事を順に作ってあげようと思った。余談だが私はお金が結構ある、貰った宝くじで3億円を当て、くれた大人に100万円渡す代わりに受け取りと私の口座を作ってもらったので母は知らない。

 豚ほうれん草鍋を作ると覇王くんは美味しそうに食べてくれた。そうだよ、世の中には自分で血抜きをしないでも美味しく食べられるお肉が売っているのですよ。



「美味い…マジで美味い…こんなに美味しい飯を作ってもらっていいのか?家族に何か助けてもらうなんていいのか?」

「その気持ちは痛いほど分かりますが私を唯一の家族だと思ったほうが気が楽ですよ、本当に。私も覇王くんだけ家族だと思うことにしたので。」



 私たち2人は中々重症だった。たぶん今なら家族のためになんでもできると思う。ん?あれ?



「あ、ちゃんとした家族のためにって感情が抱いてほしさや服従したさに勝ちました。家族愛って凄いですね!」

「待て、志保もその…だい…服従したいとか思っていたのか?」

「何を言っているんですか女の子なので当たり前じゃないですか。今はギリギリ家族愛が勝っています。」



 抱いてほしさなどが私にもあった事は驚いているようだけど、家族愛って言葉が嬉しかったのか覇王くんは綻んでいた。いい笑顔だ、どんどん手料理を食べさせたくなってくる。

 今ならきっと同じ家でも私はちゃんと眠ることができるだろう。だって家族なのだから居るだけで安心できる存在なのだ。



「志保、料理本当に美味しかった。俺にもできることがあったらなんでもするから遠慮なく言ってほしい。」

「めちゃくちゃに犯……覇王くん、なんでもとか言うと欲が愛を上回るから自重して。」

「欲が強すぎないか?」

「薄氷の勝利とはいえ愛が勝っているだけ奇跡なんだよ!?」



 何を言っているのだろうか上位種様は。自分の魅力に気づいていない。上位種じゃない、彼は家族だ。義兄だ。大丈夫大丈夫愛しい存在だ。

 私は唱えるように気を引き締め覇王くんを家族として認識しなおす。



「滅茶苦茶気合い入れるのな。」

「ここまでして飢えた家族愛をフル稼働してようやく愛が勝つのよ。じゃあ覇王くん一緒にお風呂入ろ?」

「まだ欲が勝っているぞ。頑張れ義妹。」



 そういい彼は私の頭を撫でてくる。一瞬だけ下腹部がキュンとしたが撫で方から親愛のような上位種の庇護下にあるような温かい気持ちになってくる。



「こうやって温かい気持ちになってくると…いいですね、家族って。」

「そうか、そう思ってもらえると俺も嬉しい。」



 覇王くんも初めての家族にどう扱えばいいのか迷ったのか胡坐をくみ、私を大きめの猫を扱うかのように足の間と胸元に収め撫で続ける。覇王くんじゃなくてお義兄ちゃんとか言ったほうがいいのかもしれない。抱かれたい思いがだんだん薄れていく。ずっとこのままでいい。

 お義兄ちゃんが撫でミスして彼の指が私の口に入って引っかかる、口の中を大きな肉で荒らされ反射的に離すものかとしゃぶりついてしまう。美味しいもっと欲しい彼が欲しい抱いてください覇王様。危ない抑え込め義兄義兄義兄義兄…


 死ぬ気で抑え込んで蕩けた顔で私は彼に苦言を呈する。



「覇王くん?死ぬ気で抑え込むからなるべく隙を見せないでもらえるかな?」

「すまん、よく考えたら人とこんなに近い距離で触れ合うの初めてで手元が狂った。」

「まったく。他の女の子にあんなことをしたら今頃裸で抱き着いているんだからね!」



 そういえば私は必死に雌の本能を抑え込んでいるけど、彼は実際のところ。女の子に迫られたらどうするのだろうか?恋愛したり結婚願望はあるんだよね覇王くん。せっかくなので思ったままを伝えてみた。



「ということでさ。覇王くんってもしも私が裸で抱いてくださいって夜布団の中で迫ったらどうするの?ちなみに経験はある?」

「……わからん。女子はイベントで手つなぎや握手までしかしたことは無い。」



 そうか。覇王くんって女の子からしたら上位種であり、近寄りがたい神仏だけど彼目線では経験の無い高校生男児なのか。



「じゃあもしも私が欲に負けて縋り付いたら食べちゃうの?」




「………たぶん、場に流されてしまうと思う。でも、できれば初めて家族が出来たんだ。まだしばらく仲良しの家族でいてもらえないだろうか?」



 そんな事言われたらさぁ…私の返事は決まってるじゃん。



「分かった。本当に限界の限界まで頑張るから家族でいてね、覇王くん。」



 負けても受け入れてくれるって言うけどそれは本当に最後の最後。欲に負けないよう、彼が望む家族としてふるまい続けようじゃないか。それはきっと私だって幸せなことだから。

 私も頑張るから覇王くんも隙を見せすぎないように気を付けてよね。



「あ、場に流されるとか私以外に絶対に言っちゃだめだよ?家族愛で雌の本能に勝てる私以外に言うと本当にやばいことになっちゃうからね?」

「大丈夫、志保ならいいかなって思っただけだから。」

「好き好き好き隙を見せないで!!」



 全く本当に隙だらけだよ覇王くん!!あれ?私って覇王くんを家族や雌としては大好きだけど恋愛目線で見たこと…ん?待って、今何か大変なことに気づきかけた気がするよ?


 彼の望みは恋愛をして結婚だよね。でもそれには雌の本能を抑え込んで覇王くんと恋愛できる人が必要なわけだけど…その望みを叶えられるのって世界で唯一、抱かれたいのに本能を抑え込める私くらいなのでは?


 ということは…私は大切な家族の望みを叶えたいなら、恋愛を完遂するまで雌の本能を抑え込み続けないといけない?もとい『雌の本能に抗いながら、恋愛を完遂する』って何?禅問答か何か?いやたぶん世の中のカップルも本能に負けているはずだし、過剰じゃ無ければいいんだ。R15に抑えられるなら全てセーフな雌の本能は恋愛。あれ、じゃあ雌の本能で大好きなら恋愛判定でも絶対好きじゃん?あーだめよくわからなくなってきた!



「覇王くん、私と恋愛してみよっか?」



 ええい女は度胸だ!やろうぜ覇王くん恋愛だ!雌の本能R15版お付き合いしようぜ!

 どう転ぶかは付き合ってからだ!やけくそ気味だよ!!


 壊れそうになったら受け入れてくれるらしいし、彼の望み『恋愛』をやれるだけやってみよう。

 家族なのに必死に雌の本能を抑えながら恋愛して、恋愛がゴールできたら抱かれたいってどんな関係なんだろうねこれ。



「初デート行こうよ。どこか行きたい場所ある?全部奢るよ!」

「豚骨ラーメン?」

「食に興味あるのは十分理解できるから一概に否定しづらい…よし、食べ歩きしよっか。」



 なんかまあ、意外と上手く行きそうな気がしてきた。この後いっぱい彼が幸せそうに食べる姿に癒された。

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