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Chapter1:「出会い」

四月、それは出会いを告げる季節。

桜の花びらが空を舞い、春の訪れを告げる。

暖かな気温と心地良い風は、人を少しだけ足早にする。

今日という日を待ち望んでいる人は多くいるだろう。実際に私もその中の一人だ。


「か〜い〜!」

遠くから私の名前を呼ぶ声が聞こえ、振り向く。

長い髪を揺らしながら、満面の笑みを浮かべてこちらに駆け寄る。

「おはよっ、由香」

私の中学の頃の親友である由香と挨拶を交わし、自然と笑みが溢れた。

「おはよ!花衣!今日からまたよろしくね!」

「由香は今日も元気だね、そんなに学校が待ち遠しかったの?」

「だって花の高校生になったんですよ奥さん!嬉しく無いわけがない!」


「奥さんって…」と言いながらも、私も内心ワクワクしている。なにせ今日から高校一年生となり、新しい環境に胸を躍らせていた。

どんな出会いがあるんだろう、カッコいい先輩とか居ないかな?部活動も何をしようかな?

そんな気持ちを抱えつつも、それが由香にバレないように気を付けながら学校へと向かう。浮かれてる事がバレたらからかわれちゃうしね。


「…!花衣、危ないっ!」


由香の声が後ろから聞こえた。考えながら歩いてたからか、前を見て歩いてなかったのだ。

気づいた時には、トラックが私の命を轢き潰そうと眼前に迫っていた。運転席から見えた運転手の瞼は閉じている。居眠り運転と言うやつだ、なんて冷静に分析してみる。

私の頭の中は色々な思考が流れていっては去っていく。これが走馬灯か、なんて笑ってみる。

そして一頻り思考が流れ去り、口を動かす。


「…ごめんね、由香。」

口から溢れた言葉は、親友に対する謝罪の言葉。

きっとトラウマになっちゃうんだろうな。一生この事を思い出しちゃうんだろうな。

私は由香に対する謝罪の気持ちと、後悔の念を抱きながら目を瞑る。せめて来世では、いい事が有りますようにと願いながら。

そして私はトラックに身体を轢き潰されて。


轢き潰されて…


おかしい、痛みを感じない?

もしかして一瞬で潰されたから痛みを感じる間も無い感じ?


「…おい。」


背後から誰かの声が聞こえる、幻聴かな?


「…おい。」


そりゃそうだよね、トラックに轢き殺されたもの。


「おい!生きてるか!おい!」


…生きてるわけないでしょ?トラックで轢かれて生きてる人間なんて。

「異世界転生するつもりか馬鹿!起きろ!」

…は?異世界?


聞き慣れない言葉を聞いて少しばかり頭が冷静になったからか、ようやく私は心臓の鼓動が脈打ってることに気付いた。

恐る恐る目を開けると、そこには運転席が潰れたトラックがそこにはあった。

距離にして見れば僅か数センチ、あと数歩前に出ていたら…なんて考えてしまいゾッとした。


ふと右腕に違和感を感じて見ると、男の人と思わしき手が私の右腕を掴んでいた。おそらく腕を引っ張って僅かに位置をずらしていたのが功を成していたのだろう。

後ろを振り向くとそこには泣きじゃくる親友の由香と、私を助けたであろう知らない男の人が側にいた。

「か゛い゛〜!い゛き゛て゛て゛よ゛か゛っ゛た゛〜!」

由香は私を思い切り抱きしめ、人目を気にせず大泣きしている。気の抜けた私も、気付けば由香につられて大粒の涙を流していた。


「ごめんね由香…!ごめんね…!」

「花衣が…死んじゃうかもって…思って…!」

「でも、そこにいる先輩が…助けてくれて…!」

由香に言われて、私はようやく助けてくれたであろう存在を思い出し振り向く。


私はこの日の事を、永遠に忘れはしないだろう。


私の運命を変えた、あの出会いを。



初めてこのような場で作品を投稿するため少しだけドキドキしてます…!


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