表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/33

第21話 告白

「ちょっと話があるんやけど、聞いてくれる?」


 そう言ったマユの表情は真剣で、これからの話が真面目なことを予感させた。


「どうしたの?」

「なあ、ユータ。今日は楽しかった?私と居て」

「そりゃ、もちろん。久しぶりに昔に戻った気分だった」


 紛れもない本音だった。


「私も、めっちゃ楽しかったわあ。最近で一番やな」

「マユも大げさだね」


 万感の思いを込めたような台詞だけど、ちょっとむず痒い。


「でも、自己嫌悪もあるんよ」

「自己嫌悪?なんで?」


 意外な言葉に、驚く。


「やって、ユータが、ずっと、想ってくれてた事気づかんかったし……」

「ちょっと待って、それは」


 この流れは、きっと。


「ええから、最後まで聞いて?」

「は、はい」


 そう言われては、口を差し挟むことも出来ない。


「私も、ユータの事全然意識しとらんかったし。もう、ほんとなんやろ」


 微妙に低いテンションで色々なことを吐露するマユ。


「昨日今日でいきなり好き?とか自分でも思うし」

「……」

「そんで、頭ぐちゃぐちゃで、色々わからんのやけど」


 でも、と。


「ユータと一緒に居たいっちゅうんは確かやし」

「そ、それは恐悦至極」


 なんで、こんなテンションが低いんだと思うけど、想われてるんだろう。たぶん。


「やから、好きやから。付き合うて欲しい」


 低いテンションのまま、決定的な言葉を告げられてしまった。


「一つ聞いていい?」

「なんでもどうぞ」

「なんでそんなテンション低いの?」

「やって、昨日今日色々ありすぎて、気持ちがよーわからんもん」

「確かに、色々あったね」


 ほんとに。


「こんなんで、ごめんな」

「別にいいけど。返事すればいいんだよね?」

「頼むわ」


 もうちょっと、カッコよく決めたかったのだけど、まあ仕方がない。


「きっかけはさ。かおちゃんに振られた時だったんだ」

「よく覚えとるよ」

「色々、慰めてもらって、それで、その内に失恋から立ち直って」

「うん」

「ああ、マユって優しいなあという感じで、好きになってた」


 何か劇的なきっかけがあったわけじゃないけど。かおちゃんに振られた時に優しさを再確認したというのがきっと大きいのだろうと思う。


「ほんとは、僕の方から告白するつもりだったんだけどね」


 ちょっと苦笑いだ。


「それはわかっとったよ」

「だよね」


 マユの家にお邪魔したのが引き金になるとは露ほども思っていなかった。


「というわけで、僕も付き合ってもらえると嬉しい」

「じゃあ、これから、よろしゅうなー」


 そう言って、マユは泣き出してしまった。


「ちょ、なんで泣くの!?」

「やって、嬉しいけど、色々自分が情けなくて……」

「ああ、もう。ほら」


 持っていたハンカチで涙を拭う。泣いてしまう気持ちはわからないのだけど、昨日今日と色々あったからなあ。


 そうして、僕たちは恋人として付き合うことになったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ