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16話 城の地下と闇の勇者

 レストリア王国の人々が賑わう中、隆介は人混みに紛れ込みながら目の前に見える大きな城を目指していた。


「う〜んどうしようかな。助けると言ったもののどうやってあの城の中に入ろう。流石に正面突破っていうわけにもいかないし」


 人混みに紛れてランクBの領域に入ろうとしたが、兵士達が1人1人身分証を確認していた為無理と判断した。なので怪しまれないように門の左に歩いて行き、兵士達から見えない様に一旦隠れる。


「何かいいスキル無いかな〜」


=====================================


名:天草隆介 年齢15歳

性別:男 

種族:人間?

ランク:B

体力:SSS

魔力:SSS

腕力:SSS

敏捷:SSS

防御:SSS

魔防:SSS

運: E

魔法:〈雷魔法SSS〉〈闇魔法SSS〉〈土魔法SSS〉〈回復魔法SSS〉〈光魔法SSS〉〈火魔法SSS〉

ユニーク魔法:〈鑑定SSS〉〈偽造SSS〉〈結界E+〉〈万能_〉〈危機探知E〉〈自動範囲回復E〉〈黒龍神王の威圧_〉〈多言語理解_〉

〇☆◇#€*□:〈ランク操作S〉〈無限収納_〉〈神眼_〉〈特殊変身_〉〈魔法転送_〉〈アバター創造_〉

称号:〈転移者〉〈SSS習得者〉〈ランク操作する者〉〈創造神の寵愛〉〈生み出す者〉〈地獄迷宮突破者〉〈白神龍王討伐者〉〈人外〉

加護:〈創造神の加護〉〈召喚の加護〉〈白神龍王の加護〉〈黒龍神王の加護(装備)〉


====================================


「無いな。〈黒龍神王の威圧〉を使ったら騒ぎになりそうだしここは勇者の証を使う…のは辞めよう。面倒な事になりそうだ。ならここは」


 そう言うと門にいる兵士達にバレない様ランクBの領域と普通の町と分けるための仕切り、大きな壁の前に立つとグゥ!と足に力を入れる。


「行けるかわからないけどここはランクSSSを信用して!」


  思いっきり地面に踏ん張り、顔を上に向けてジャンプをする。すると…。


 ドゴーン!!


「うおっ!?」


 予想外な事に大きな音を立て、地面にはクレーターが出来るほどの衝撃が生まれてしまった。その為何事か!と兵士達が此方を見て侵入者だ!と騒ぎ立てていた。


「まずいな…念の為ミズナに作ってもらったこの仮面を被って一気に城まで目指すか」


 〈無限収納〉から取り出した黒色の狐の仮面を被り、フードを深く被る。そして一気に城まで走る。無論敏捷がランクSSSの為物凄い速さで駆け抜ける事ができるが、走っている時の衝撃波で家を破壊してしまうと判断した隆介は加減をしながら城を目指した。

 あれ?そう言えばステータス偽造してるとはいえ今の俺のランクBだから普通に入れたような?…まーいいや。


「到着!凄いなこんなにも走ったのに一切疲れが無い!流石ランクSSSの力!…この装備のお陰だけど」


 そんな事を言いつつも城の庭に侵入できた隆介は辺りを警戒しながら移動をする。


「それにしてもこの庭凄いな。デカすぎるってもんじゃないだろ。迷路だよ迷路」


 そう、城もデカいが庭もデカく迷路のようになっていた。

 あ〜もう早くドリーさんを救出して皆んなの所に帰らないと行けないのにここで時間や食ってたら元もない。


「うん?あれは…?」


 ため息を吐きながらも歩いていると目の前に巨大な図体の紫色の何かがスヤスヤと眠っていた。

 あいつは一体何だ?取り敢えず鑑定してみるか。


=====================================


名:アドバルンク ランクSS

性別:オス

魔法:〈闇魔法S〉

ユニーク魔法:〈咆哮_〉〈猛毒煙A〉〈猛毒沼B〉〈猛毒の息吹_〉〈硬化S〉

〇☆◇#€*□:〈即死の牙爪_〉

称号:〈大魔神ギルアスのペット〉〈毒の王〉

加護:〈邪神の加護〉〈大魔人ギルアスの加護〉

状態:睡眠・テイム済


=====================================


〈咆哮を確認しました。習得しますか?はい・いいえ・保留〉


〈猛毒煙を確認しました。習得しますか?はい・いいえ・保留〉


〈猛毒沼を確認しました。習得しますか?はい・いいえ・保留〉


〈猛毒の息吹を確認しました。習得しますか?はい・いいえ・保留〉


〈硬化を確認しました。習得しますか?はい・いいえ・保留〉


 保留で。


〈承知しました。保留に移動します〉15/∞


 …うんヤバいなこの魔物。何でこんな所で寝てんだよ。ここは城だぞ。と言いたい所だけど、どう考えてもおかしいのは分かる。称号と加護に大魔人ギルアスと書いてあるから何かがある。特に1番気になるのはこの魔物にバグ魔法と邪神の加護ってのがある。何故か〈神眼〉で見てもバグ魔法は習得が出来ないし、ヤバそうな加護が目に入った。でも2つ分かったことがある。俺が召喚した人物の魔法とバグ魔法は習得できないって事と、裏で操ってるバグの正体が邪神って事。

 でも不思議だな。町の人達は普通に過ごしてたのにあの裏町は少しおかしかった。元々は普通だった可能性もある。


「調べて見たいけど取り敢えずはドリーさんを優先しないと」


 目の前に寝ている何かを起こさない様に通り過ぎた後やっとの思いで城の付近に近づく事ができた。

 あのよく分からん魔物を倒しても良かったけど大魔人ギルアスの加護とか付いてるから倒した時に加護とかが消えるかも知れない。それによって侵入した事がバレる可能性がある。ここは大人しくしておくのがベストだな。さて、この城の入り口は何処にあるかな〜…おっ?あそこから入れそうだな。

 キョロキョロとしながら慎重に歩いていくと少し小さいが、草むらの中に石で出来た扉らしき物が見えた。


「もしかしてこれって避難用通路ってやつか?ならここから入れば何処かに繋がるはず」


 早速石を持ち上げるとそこには鉄のハシゴが下まで続いていた。


「ビンゴ!降りる前に光魔法で周りを照らして〜よし、安全確認完了!行くとするか」


 光魔法で小さな光を想像して発動させると、目の前に出現してそれを操る様にして下を確認をする。下を照らすとそこは何処かに繋がる石の道が続いていた。安全を確認すると下に降りて行き、小さい光から大きい光に変えて辺りを照し、歩いていく。


 チャポン…チャポン…


「避難用通路といっても不気味だな…」


 暗い通路を照らしながら歩く事数分、何処からか人の声が聞こえてきた。

 まずいな…この先を曲がった所に誰かいる。一応立ち去るまで息を潜めておくか。そのついでに盗み聞きをしよう。


「今日もありがとうございます勇者様」

「いえ…こんな所にいつも居させてすみません…」

「ハハハ、何を言いますか。私が大魔人に支配されていた時にこうして助けて下さった。本当に感謝しています。勇者様が居なければずっと操り人形のままでした。そして本当にすまんかった。勇者様に乱暴な事を言ってしまい…」

「クロム王様は悪くありません。全てあの大魔人が悪いのです。それに…私は何も出来なかったのですよ?」

「そんな事はありません。勇者様がいたからこそこうして私達は生きているのです」

「サレン王妃様…私にもっと対抗できる力があれば…」

「カレンさんも悪くありません。全部あの大魔人の仕業です。どうか自分を責めないでください」

「ミリアさん…」


 どう言う事だ?今話しているのはこの城の王様とその妻と子供?それにカレンと言う女の人は勇者?気のせいか俺の知っている人物の声と名前に似ている様な〜の訳ないよな。この世界にあの子が来ている訳ないもんな。なら誰なんだ?

 もう少し情報を得ようとギリギリまで近づこうとした瞬間!


 コツ!


「誰ですか!」


 隆介は下を見ていなかった為落ちている石を蹴ってしまい音を立ててしまった。

 しまった!


「いるのは分かっています。出てきて下さい!」

「き、危害を加えるつもりは一切ない。本当だ」


 隆介は諦めて顔に付けていた狐の仮面を外して両手を上に上げる。


「そうですか。なら貴方は何をしにここに来たのですか?」

「俺はここに囚われている精霊を助けにきたんだ。それ以外は何もしない」

「本当ですか?」

「ああ本当だ」


 真っ黒なローブのフードを深く被っている為相手の表情などは余り分からなかったが、目の前にいる人物は少女だと声で分かった。

 何で勇者がこんな事をしてるんだ?


「…分かりました。一応貴方のことは信用します。ですが変な真似をしたら分かってますよね?」

「ああ分かっている。俺も死にたくないからな」

「ご理解いただきありがとうございます」


 とは言ったはいいもののまだ警戒されていた。


「ところで君って勇者なんだよね?」

「会話を聞いていたのですね。そうです私は勇者です」

「なら何でこんな事をしてるんだ?」

「それは言えません。ですがこの方達に害をなさない事だけは言えます」

「そうか、あともう一つ聞きたい事がある」

「答えられる範囲でなら」


 これだけは聞いておかないと。


「君って日本から召喚された勇者だよね?」

「ツゥ!?な、何で知ってるのですか!まさか貴方も!」


 やはりと言うべきかこの反応は日本から召喚された勇者だ。て事は俺の同級生か?余り他のクラスの人の名前とか知らないけど、どうしてこんな所にいるんだ?


「そうだ。だが今は理由があってこの世界に馴染む様に姿を変えている」

「!?」

「それに俺は勇者の称号は持っていない。巻き込まれた者だ」

「そ、そうでしたか…すいません…」

「謝る事はないよ。別に君が悪いわけではないからね」

「あの〜」


 暗い雰囲気になっていると牢屋にいた白髪で緑色の瞳、歳は取っているがカッコいい顔付き、優しい目付き、ダンディーな声、しっかりとして体付き、服はボロボロだったがちゃんとした王様服、そんなダンディーな王様が隆介に話しかけてきた。


「何でしょうか?」

「いきなりですが貴方の名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「俺ですか?俺は〜」


 どうしようか。今目の前には俺と同じ日本人の人がいるから本当の名前を言っても…やめよう。


「俺の名前はゼロです。すいませんが本当の名前は言えません」

「そうですか…。分かりました。ゼロさんにも色々と事情があるでしょうから。では私の名前は「クロム・スラント・レストリア」です。クロムとお呼びください」

「分かりましたクロム王様」

「王様と付けなくてもいいですよ。気安くクロムとお呼びください」

「ではクロムさんと言わせていただきます」

「さんも要らないのですが…分かりました。ではゼロさんまだ出会ったばかりですが頼みたい事があります」

「何でしょう?」


 クロム王は真剣な表情をして真っ直ぐ隆介の目を見る。その目は本気の目立った。


「ゼロさんの力を貸していただけないでしょうか。報酬はゼロさんが望んだものを好きなだけ用意します。どうかこの国を救ってください」

「それって…」

「危険なのは充分わかっております。ですがゼロさんのオーラーをみて確信に変わりました。必ずこの国を救えると」


 するとクロム王は土下座をして頭を下げ始めた。王妃とその娘もまた土下座をして隆介にお願いをしていた。


「あ、頭を上げてください!上に立つ者が簡単に何処の馬の骨とも分からない人物に頭を下げてはダメです!分かりました!その頼み聞き入れます!」

「ほ、本当ですか!ありがとうございます!」

「「ありがとうございますゼロ様!」」


 慌てて頭を上げる様に言う隆介はこの頼みを聞き入れることにした。王様に土下座までさせられたら断ろうにも断れないじゃないか。まー困っている人が見捨てるわけにもいかないし断らないけど。にしても何で一瞬にして俺の力を見破れたんだ?偽造もちゃんと使ってるのにオーラー?で見えてたって言ってたよな。


「クロムさん少し宜しいですか?」

「何でしょう?」

「先程クロムさんが言ったオーラー?って何ですか?」

「そうですね〜簡単に説明しますと王だけが持てるユニークスキルと言いますか」

「王だけが持つユニークスキル?」

「はい、王だけが持つユニークスキルは各王に1つ持っている特別なスキルです。王のユニークスキルは数は分かりませんがいくつか存在するみたいです。そしてこの力は代々受け継がれて今は私が習得しています」


 要するに王だけが使える限定のスキルって事か。ならウルド王も習得しているって事か。あの時は隠していたから見えていなかっただけで王限定のスキルを持っていると。成る程少し欲しいかも…なんてな。


「ではクロムさんは相手のオーラーをみてどれだけ強いのか分かるのですね」

「はい、詳しくは言えませんがそうです」

「力を隠してもクロムさんにはバレバレって事ですね。分かりました。ではえっと〜カレンさん?俺はもう行きますね」

「名前も聞こえていたのですね。カレンで合っています。分かりましたお気をつけて」


 4人に見送られながらも周りを警戒しつつ再度狐のお面を付けて上に続く階段を登っていく。地下を歩いていると他の牢屋の中にはこの城のメイド、執事、兵士などの人達が囚われていた。

 何故か廊下に1人もいない。それに地下にドリーさんが居なかった…まさか大魔神が何かする為に?それなら急がないと!

 廊下は誰1人と歩いておらず、外から聞こえる鳥の鳴き声しか聞こえなかった。


「この城デカすぎるよクロムさん…」


 迷いながらもあちこち歩き回る事数分、やっとそれらしき扉が見えてきた。


「あの扉が怪しいな」


 1つだけ両扉だったのでここだと確信した隆介は目を瞑り、スゥ〜と息をゆっくりと吐いて心を落ち着かせる。そして目をゆっくりと見開き、よし!と扉をバン!と勢いよく開けるとそこは玉座の間で、玉座には偉そうに足を組みながら1人の男が座っていた。その男は赤髪で頭に3本の角を生やしており、真っ赤になった瞳、鋭い目付き、歯は鋭く尖っており、着ているものはスーツの様なキチッとした黒い服。そして何と言っても全身が紫色でお尻からは刺刺で毒々しい尻尾が生えている。身長が約2メートル以上。その隣には黒いローブ姿の人物がウェーブ状の茶色の杖を右手に持っていた。


「ようこそ俺様の城に!生贄がまた1人増えて俺様は嬉しいぞ!」


 バァ!と席を立って歓迎をする様にしていたがその目は殺気を放っていた。

 こいつが大魔人ギルアス!


「お前が大魔人ギルアスだな。ドリーさんは何処にいる!」

「ドリー?ああ、あの精霊か。そんなもん貴様に教える義理はない」

「教えろ!それにクロムさん達を閉じこめたのはお前か!」

「何度も言わすな!貴様に教える義理はねーんだよ!だがあの人間共の話なら教えてやるよ!あいつらは魔王様に捧げる為の生贄だ!だからな?貴様も魔王様の生贄になりな!」


 すると一瞬にして隆介の元まで近づき攻撃を始める。


「なぁ!?」


 ドゴーン!!


「グゥ!?」

「あ〜あ〜いきなりやり過ぎちまったかな?」


 いきなりの攻撃に隆介は咄嗟に腕をクロスして防御をするがその力は強大で後ろに吹き飛ばされてしまう。そして壁に背中が思いっきり衝突してクレーターが出来る。

 こいつ!


「あれ?俺様の攻撃を受けても死なねーのか。チッ、たく面倒だな。変な仮面も付けてやがるし。しゃーねーな。俺様の元に戻って来い!」

「ズシャーー!!」


 すると先程まで庭で寝ていた何かがギルアスの手によって玉座の間に召喚された。その何かは巨大な紫色の図体で、4本の足と尻尾には毒々しい鋭い棘が生えており、なんと言っても顔と口からはドロッとした毒が垂れ出ており、垂れる度にジュ〜と煙が出て床が腐っていく。そして目らしき物も無かった。

 悪かった変な仮面でよ!ん?こいつよく見たら庭で呑気に寝てた魔物か!


「可愛いだろ?俺様のペット」


 そう言ってギルアスは何かに近づくと、そっと手を出して撫でる様にして笑う。何故かギルアスは触れても毒に侵されずに普通にしていた。


「おー!ギルアス様!この魔物は毒の王アドバルンク!凄い!凄いです!」

「だろ!こいつは俺様だからこそペットにできる毒の王アドバルンクだ!さー!どうするそこの人間!生贄になるか戦うか!」

「そんなの決まっている…」


 そう言って右手を横に伸ばして、発動させた〈無限収納_〉に手を入れ[機械の核]を取り出した。


「俺は戦う!」


 [機械の核]をギュッと握りしめて目を瞑る。そして変形させたい武器を想像する。すると一瞬だけピカッ!と光、ガシャガシャ!と音を立てながら形を変えていく。一瞬にして変形した[機械の核]はシュ〜と音がすると同時に小さな機械小剣が隆介の右腕に現れた。


「その奇妙な魔道具は気になるがそうか、俺達に歯向かうのなら殺すしかないな!行けアドバルンク!」

「ズジュルルルシュー!」


 ギルアスが命令をすると毒を飛ばしながらズンズンと隆介に突っ込んで行く。のだがその飛んでいった毒が黒いローブの男に当たってしまい、苦しみなが生き絶えていった。


「あいつ死んじまったか。まーいい。さて、俺はのんびりと椅子に座って眺めているとするか」


 ギルアスは呑気にあくびをしながら目の前の光景を観戦しようと玉座に座り、右足を組んで偉そうにする。


「せいぜい頑張るといい。どうせ貴様はここで死ぬんだ。どう足掻いてもな」

「それはどうかな!」

「ズシャ!?」


 真っ直ぐ突っ込んできたアドバルンクを隆介は右に回避すると同時に機械小剣を右胴体に斬りつけ攻撃を加える。だが…。


「マジか!?」

「ズルルルル!」

「アホだな貴様は。こいつを知らないのか?こいつは全てが毒で出来ている生物なんだぞ?斬ったら体液に含まれている猛毒が溢れ出るだけだぜ?」

「くぅ…」


 そう、隆介が斬りつけたアドバルンクの右胴体からは紫色の血が地面に垂れ出ており、ジュージューと言いながら床の赤絨毯が溶けていく。


「因みに俺様はこいつの主人だから猛毒の煙だろうが液だろうが効かないぜ?これで分かっただろ?俺達には敵わないって。諦めてさっさと生贄になりな!俺様からの最後の優しさだ!さぁ!どうする!」


 どうする…こいつを斬ったら猛毒の血が出てきて厄介な事になる。それにここで魔法を放ったらこの城が崩れてえらい事になる。加減をして打ってもいいがそれだとあの魔物を倒せないだろう。魔力を凝縮して小さな塊にして放つのもいいがなんせ俺の魔法ランクは全てSSSだ。もしもの事があったらでは遅い。う〜んどうしようか〜…あ、これがあったは。これならいけるな楽に。


「うるせーよクソ魔人が…。俺はお前を倒す前に聞きたいことがあるんだよ」

「あんだと!」

「もう一度さっきと同じ事を言う。ドリーさんは何処にいる。教えろクソ魔人」

「よくも俺様の事をクソ魔人と2回言いやがったな!教えんぞ!殺す!殺す殺す殺す!貴様を絶対に生きて帰さん!殺れアドバルンク!」

「ギャルジュルルル!」


 ブチギレたギルアスはアドバルンクに再度命令をするとユニークスキルであろう〈咆哮〉を放つ。だがその咆哮を食らっても隆介は微動だにせずフッと笑う。


「冷静さを忘れると危ないぞクソ魔人。[指定アドバルンクには最大威力。大魔人ギルアスに最小威力の〈黒龍神王の威圧〉を発動]だ」


 すると一瞬だけブワァとなり空間が乱れ、圧がかかったかのような重い空気になる。そして次の瞬間…。


「ズッ…」


 ズドーン!


 最大威力の威圧を食らったアドバルンクは動きが止まり、ゆっくりと胴体が左から傾いて大きな音とともに倒れて生き絶えていった。


〈毒の王アドバルンクを倒しました。よって称号〈毒の王討伐者〉を獲得します〉


〈毒の王アドバルンクの称号を獲得した為〈全毒耐性_〉を獲得します〉


〈毒の王アドバルンクが持っている〇☆◇#€*□の〈即死の牙爪〉を習得しますか?はい・いいえ。いいえを選択した場合消滅します〉


 うん?〈神眼〉で見ても習得出来なかったバグ魔法を習得者を倒せば習得できるのか?けど保留はないのか。ま、折角のバグ魔法だ。消滅させるのは勿体ない。使い道がないとは言えここは[はい]だな。


〈承知しました。〇☆◇#€*□の〈即死の牙爪_〉を獲得します〉


「これでよし!〈全毒耐性〉の習得も大きいな!」


 そんな事をしている隆介とは違って大魔人ギルアスは唖然としていた。

 バ、バカな!?一体何が起こったと言うのだ!それに俺様が震えている?ありえん!そんな事は絶対にありえん!俺様は大五魔人の1人だぞ!こんな奴に何故!


「き、貴様!何をした!」

「その質問に答えるからお前も答えろ」

「生意気な!」

「何度も言うがここに囚われている精霊は何処にいる?答えろ」

「…そうかそう言うことか。貴様がここにきた理由は俺様ではなく最初っから精霊を助ける為か」

「最初からそう言ってるだろ…そもそもお前がこの城を乗っ取っているなんて知らなかったし」


 こいつバカなのか?俺は最初からそう言ってるよな?何で今頃理解してんだ?とと口が悪いな俺も。だけど目標追加だな。第一は無論ドリーさんだけど第二はこの国に最悪な危機が訪れる前にこいつを倒す。そしてクロムさん達を救出する!


「ク、クハハハハ!いいだろう教えてやるよ。精霊の居場所はこの城の地下だ。だが普通の地下じゃねー」

「どう言うことだ?」  


 体の震えが止まり余裕が出来たのかニヤリとして椅子から立ち上がる。

 体の震えは気のせいだったな!


「精霊はこの玉座の下にある地下だ。だが俺様を倒さない限り通れないぜ?と言ってもこの玉座には呪いが掛けてある。俺様の加護が無い限り入る事はできないだろう。残念だった!」


 高らかに笑い、残念だったな!と隆介の事を見下すが、隆介はと言うと下を向き落ち込んで?いる雰囲気を出している。そんな姿を見たギルアスは更に余裕な表情をして笑う。


「さて、次はお前が答えろ。俺のペットに何をした?」

「そうだな〜一言で言うなら威圧だ」

「威圧だと!嘘をつくなクソ!真面目に答えた俺様がバカだった!殺す!」


 ギルアスの身体から赤色のオーラーが出現するし、体を纏うにすると筋肉がバキバキ!と音と共に膨れ上がり、更には大きくなっていく。


「俺様をここまで怒らせたら敵うやつなんざいない!」

「ハハ」

「あっ?」

「ハハハハハ!」

「何笑ってやがる!…あ〜そうか死ぬ前だから可笑しくなったのか。今更命乞いをしても無駄だそ?」

「いやいやそんな事はしないよ。ただね?答えを教えちゃっても良かったのかな〜と思って」


 と、小剣から杖に変形させて、口元をニヤリとさせる。


「今から面白いものを見せてやるよ」

「面白いものだと?」


 隆介は右手に持っている機械杖を前に構えてある魔法を発動させる。するとギルアスが座っている玉座が光り始めた。

 一か八かで使ってみたけど使えたな。回復魔法の説明に書いてあった状態異常って毒や麻痺や睡眠状態を治す効果があるのは知ってたけど呪いも状態異常に含まれるのであれば解除できると思ったが正解だな。ここでもし解除出来なかったら笑いもんだな。


「ば、バカな!?俺様の呪いが解除されているだと!俺様の呪術はランクS+だ!貴様は一体何もんなんだ!」

「俺か?俺は〜ただの冒険者かな?新人冒険者だからお手柔らかに〜なんて」

「クソッ!何が新人冒険者だ!」


 ビキッ!と額に青筋を浮かべながらイライラしているギルアスは両拳をギュッ握りしめて震えていた。

 こんなふざけた奴を相手にするのは面倒だな…そうだ。あいつを呼べばいいな。ついでに俺様のループも使うか。これなら勝てる!クハハハハ!


「本当笑わせてくれる奴だ。なら俺様も貴様に礼として面白いものを見せてやるよ」

「うん?」

「俺様の元に戻ってこい!」


 大声で誰かに戻るように指示をすると、後ろの両扉がギィ〜と音と共に開き、ある人物が現れる。


「き、君は!」

「……」


 そう、扉を開けて中に入ってきたのは地下でクロムさん達一緒にいた黒いローブの少女だった。無論フードを深く被っており顔は見えない。


「な、何故カレンさんがここに!」

「……」

「ん?貴様ら知り合いか?ならいい事を教えてやるよ。こいつは今俺様の奴隷としてこき使っている真の勇者だ!いや、こう言った方がいいかな?闇(・)の(・)勇(・)者(・)とな!」


 高らかに笑い勝利を確信しているギルアスとは裏腹に隆介はツゥ〜と汗を流していた。

 どうしてカレンさんが魔族側に!


「カレンさんが何故そっち側に!」

「答えを教える前に、おいお前あいつに良いものを見せてやれ」

「……」


 少女はギルアスに命令させると、右手から紫色で豪華な剣が出現する。その見た目は渦渦しくも見惚れてしまう程の美しさだった。


「あれって!?」


 まさかあれは豪華と同じ聖剣!


『天闇剣(テンアン)』

選ばれし者だけが召喚できる聖剣の一本【闇の聖剣】。魔力を聖剣に流すことによって倒した相手を吸収し、吸収した相手のランクを5分間使う事が可能。【例え】体力、魔力、腕力、敏捷、防御、魔防のランクをどれか1つだけ使用可能とする。魔物などの場合は使用不可。一度使用した相手は自動的に消える。魔法吸収または魔法切断が可能。魔法使用時の魔力半減。魔系に与えるダメージ増加。


〈天闇剣(テンアン)が使えるようになりました。〈聖剣召喚_〉を習得しますか?〉


「しないです」ボソッ


〈承知しました。保留にします〉


 豪華の聖剣よりチートじゃねーか!なんだよ吸収した相手のランクを使えるって!俺がもしあれに吸収されたら6つのステータスの内の1つが使われるってわけだよね!例えばあの子がもし魔力を選択した場合5分間だけ魔力SSSになるって事か!それに魔法吸収と魔法切断ってのも厄介だな…。


「やはり分かる奴には分かる様だな。この世界じゃ剣は邪道とされているが一部では剣の道を進む者もいる。その中で剣士は強力な剣である聖剣を求め旅をする者もいるとされているがこうやって異世界からくる奴にもたまに習得している者がいる。それこそが真の勇者と召喚されたこいつだ」

「なら何故お前が真の勇者を従えている!この子に何をした!」

「答えを教えてやろう。答えは…この国が召喚した勇者がたまたま真の勇者だったからだ!俺達の脅威となる真の勇者は本来殺すのが普通だが俺様には支配の力がある!これで支配さえすれば絶対に逆らう事が出来ない!そして俺様に強力な奴隷ができる!最高じゃねーか!クハハハハハハハハ!」

「お前!」


 機械杖から機械刀に変形させ、目の前の少女を通り過ぎて直接ギルアスに攻撃を加えようとした瞬間…。


 キーン!


「…すいません」


 隆介とギルアスの間に入り、隆介が振り下ろした機械刀を少女は右手に持っている聖剣で受け止めた。


「カレンさん!?」

「フハハハ!いいぞ!俺の盾となって死んでいけ!それがお前使命だ!」

「……」


 その後も隆介はカレンを避けてギルアスに斬りかかるが必ずと言っていいほど目の前にはカレンが現れ、全ての攻撃を受け止める。

 さっきからどうなってるんだ!


「…ループです」

「えっ?」


 機械刀と聖剣がぶつかり合いながらも、その中でカレンがボソッと隆介の近くまで来た時に答えた。

 ループ?ループって何度も繰り返されるって意味だよな?どう言う事だ?

 一旦攻撃を止めて周りを見渡すが、ヒントになる様な物は見当たらなかった。


「さっきまでの威勢はどうした!闇の勇者の前では手も足も出ないのか!無様だな!」

「……」


 ギルアスはいつの間にか玉座に座り直しており、偉そうにしながら隆介に挑発をしていた。玉座の前にはカレンがギルアスを守る様に立っている。

 何か…何か無いのか?あの大魔人に直接攻撃をしようとしてもカレンさんが俺の攻撃を受け止めてしまう。魔法を放とうにも威力がどれぐらいなのか分からないから下手にこの城が崩れてしまう可能性がある。


「一体どうすれば…」


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