3話 タピオカ
「ボクは、タピオカを飲みに行く」
いきなり平成ちゃんが、私にそういって来ました。
「タピオカ……? ってなんですか?」
「タピオカは今話題急上昇の飲み物だよ。インスタ映えが理由で話題に上がったとか、上がってないだとか。
ボクは今からそのタピオカを飲むために地上に降りたい。もし良ければ、令和ちゃん、君も来るかい?」
タピオカ、というものがイマイチ分かりません。
でも、平成ちゃんのいうことです。
タピオカが危険なものだとは思えません。
ですから、
「行きましょう、平成ちゃん」
*****
地上に降り立ちました。
ふと、私は気が付きました。
「あの、私たちって困ってる人とかにしか、姿を見せることできないですよね?
どうやってタピオカを買うんですか?」
「奇遇だね、ボクもそれで困っている。
ただ、解決策はあるさ」
「どんな解決策ですか?」
「簡単さ。インスタというシステムに囚われている人たちから、タピオカを貰えばいい」
私は意味がよく分からず、首を傾げました。
「あぁ……その姿も可愛いよ…………じゃなかった。
タピオカをインスタのためだけに買う人がいるってことさ。
例えば……ほらっ、彼女たちは今困っている。助けに行こう」
「はいっ」
私は平成ちゃんのあとをついていく。
「すいません、そこの方」
「なんでしょうか?」
相手は今年20歳となった女性二人で名前は……と、これは機密事項でしたね。
年齢と名前は、某デスノートのように頭の上に表示されてしまいます。そんな私と平成ちゃんは、無闇に相手の名前をばらしてはいけない、という決まりがありました。
「貴方たち、タピオカの写真を取るのが目当てのように思えます。もし良ければ、その手に持っているタピオカを頂けませんか?」
「いいですよー。ありがとうございます!」
そう言いながら、女性二人組は去っていきました。
「これでタピオカが飲める、楽しみだ。ふふふっ」
平成ちゃんはとても嬉しそうでした。
*****
「これが、タピオカですか」
晴れやかな太陽の下、私と平成ちゃんはテーブルにタピオカを置いて、席に座りました。
「うん、とても珍しい……というか、独特だよね。飲み物なのに、食べ物、みたいな。そんな感じだ。
さて、飲もうか、令和ちゃん」
「うん!」
私と平成ちゃんは一口、タピオカを飲みました。
「……なんというか、今までにない感じ、ですね」
私はそう答えました。
「うん、そう……だね。
かなり特殊な感覚を覚える感触だ。そして結構美味しい。これは、流行るのも頷けるな。
っと、そう言えば、こんな飲み方もあったな」
そういって、平成ちゃんは胸にタピオカを置きました。平成ちゃんはグラマーな身体です。胸にタピオカを置くのはおちゃのこさいさいでした。
「それって……?」
「タピオカチャレンジ、というものらしい。
中々似合ってるかな?」
「はいっ!
とても似合ってますよ」
「令和ちゃんに褒められると嬉しいな。さて、引き続き、タピオカを堪能しよう」
「はいっ!」
そのあと、タピオカを飲み終えました。
とても美味しかったです。