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目的1

短いです

「はっ?」


 拍子抜けした声をあげた洋平。


 それもそうだ、先程とは比べ物にならないほど、ステータスが上昇したのだから。


 実際、彼のステータスで変化があったのは、最低値に近い攻撃と防御であった。そしてスキルの棒術。


 少し首をひねり頭を回す。


 なぜこうなったか、は簡単だ。それは吸収の力だろう。


 どうして二つだけか、も簡単だ。ゴブリンを吸収したのだから、ゴブリンのステータスと重ね合わせたのだろう。そのうち、攻撃と防御以外は勝っていたからだ。


 それを裏付けるかのように、スキルの棒術も獲得した。多分、ゴブリンは棒を持って戦ってたんだ。なんでないかは知らないが。


 そのようにしていくらか考えをまとめた結果、彼は一つの答えを出す。


(吸収は『物を保管するスキル』でありながら、『敵の力を得るスキル』でもあるのだ)


 そんな希望的観測も込めて、彼は一つ深呼吸した。


(これなら光を連れてきても良かったかもしれない)


 そんなことを思いはしたが、彼は首を振ってその考えを脳内から消去した。


 後悔しても遅い、それに戻る気はない。


 啖呵を切ったからではない。此瀬を殺せるくらいまで強くなければ、光を守ることなんて夢のまた夢だ。


 そんな考えから彼はコンビニを後にした。


 ただ強くなるために。






◇◇◇






 彼が住む街は普通の街ではあるが、その街を通った後に多数の山が並ぶ。そのためにレジャー品やレジャー用品を売ってる店は多い。


 今必要なのかはなにか。


 自問自答し、結果、新しいリュックサックとキチンとしたサバイバルナイフ、そして着火剤などの火を手に入れられるものが必要。そう結論づけた。


 ホームセンターはあまり遠い場所ではない。


 そして自転車も得られればなおのこと良しだ。


(俺が今やることは強くなって、唯を連れて行くこと。その後に光を迎えに行かなくては)


 友人である陽真はなんとかしているだろう。ああ見えて手際はいい方だ。


 そんな考え方で彼は友人を心配してはいなかった。


 下手をしたら陽真がゾンビを従えているかもしれない、とそんな厨二的な考えをするくらいである。


 そんなことを考えながら歩いて数分、そのホームセンターは視界に入り始める。異様に大きなその店はまるでラスボス前の砦のような威圧感を放ち、彼はそれを見てより頬を引き締めた。


 彼がここに来るまでゾンビやゴブリン、オークのような存在とは出会っていない。


 運良くというべきか、運悪くというべきかわからないことではあるが。


 ナイフを握る力を強める。


(戦ってる最中に道具は出せない、だから気をつけないと)


 歩いてる最中に知った事実である。


 少しでも気を逸らしているとイメージがぶれ、欲しいアイテムが出てこない。


 戦闘前にしれて心底喜んだことだろう。


 ギィッと横開きの扉に力を入れる。


 ステータスのおかげか、自動ドアを簡単に開けることができたことに驚きながらも、その中の音を聞いた。


「ウゥゥゥ」


 そんな声がいくつも連鎖する室内。真っ暗で何がいるのかを認識することは不可能に近いが。


 懐中電灯を持ってこなかったことに後悔しながら、スマホの電気を片手に中を歩いていく。


(……明かりでゾンビがよってくることはない。視覚で行動しているわけではないのか?)


 開口一番に彼が思ったことである。


 暗闇の中で彼がいる場所だけ明るくても、ゾンビがよってくる気配はない。


 どちらかというと自由に散らばっているのだ。


(いや、光や色彩に弱いだけか?)


 それなら納得だ、と首を縦に振る。


 その間にも懐中電灯数点と電池式カンテラ、数種類の電池をある分だけ吸収していく彼。


 だが意識を他方に向け過ぎていた。


「グルゥゥゥ!」


「ぐぁっ!」


 不意に彼の肩に激痛が走る。


 血がドロドロと垂れ床へと落ちた。


 それで十分だったのだろう。振り返って片手のナイフで噛んできたゾンビを殺したが、もう遅かった。


 ガタガタと周囲の棚にぶつかりながら彼に向かってくるゾンビ。それも十や二十はいるだろう。


 彼は肩を押さえながら走った。


 ゾンビの遺体をそのままにして入口まで走ったが、ゾンビの速度も負けてはいない。


 いや、違う。彼の走る速度が異様に遅くなったのだ。


 それは痛みからくるものだったのかもしれないが、それだけではないのかもしれない。


 死期が迫ってきているのだ。ゾンビ化という死期が。


「ちっ」


 彼が逃げる最中にも、目の前にゾンビが多数出ていた。


(思いのほか……奥まで行っていたのか……)


 的確に首を切り落とした彼は、一度立ち止まり周囲を見渡す。


 有るのは火薬式のスターターピストルくらいだ。他にはおもちゃがあるだけ。


 パッケージを外しスターターピストルを持つ彼は、中に火薬を詰めた。


 もし可能性があるとすれば、だ。


 そんな僅かな希望に命を託して、彼は引き金を引いて店の奥に投げつけた。


 投げた瞬間に発砲したため、彼の手を火傷させたが悲鳴をあげようとはしない。


(予想……通り……)


 ゾンビは視力が弱く、一番の頼りになるものは聴力である。


 それに彼は狙いを付け、行動を起こしたのだがそれは成功に終わった。


 店の奥に我先にと集結するゾンビたち。


 だが彼も逃げる力は残っていなかった。


 だからこそ、その場に彼は項垂れる以外に行えることはなかったのである。


 なんとかステータスを開き、回らない頭を無理やり動かした。


 ____________________

 カナクラヨウヘイ(感染状態)

 レベル3

 HP35/840

 MP120

 攻撃60

 防御60

 速度120

 スキル 貫通、吸収、??、棒術

 ____________________

 感染状態、それがゾンビ化する状態である。


(……状態か)


 彼は小さく息を吐いた。


 そしてあるものに手を伸ばすのであった。

解決法は次回出てきますのでお楽しみに。


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