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初戦闘とスキル

(まあ、それで良かったのかもな)


 そんなことを考えながら、音楽室を出てすぐの廊下で立ち尽くす洋平。


 そもそも出ることは視野に入れていた。原因はただのトラウマのフラッシュバック、それはかっこよくなかったな、と彼は自身を嘲った。


 ただ単独で動く時が早まっただけ。洋平にとってはそれだけのことなのだ。


(……こんな世界じゃ唯もどうなったかわからないし)


 その頭にあったのは最愛の妹の存在。


 とはいえ狂っていない血縁である父の元にいて、洋平はあまり会う機会が少ないのだが。


 それでもシスコンと呼ばれるほどに、自身の妹のことを愛していた。


 その子を探すために出たのだが、本当は光も連れて行く予定であった。だがステータスが低すぎるために、光まで守れないと判断したために長部に任せただけなのだが。


 なにはともあれ、外に出た洋平はまず後者の外へ向かった。


 死んだゾンビの山やゾンビ化しなかった人の死体が積まさっている、グラウンドを通り抜けなくてはいけない。


 彼が欲したのは武器であった。そしてその武器となるものは、校舎内にはないと判断した。あっても金属バットが関の山だ。


 それに金属バットを取るにしても、そこまで向かうのにゾンビも多数いるわけで、そいつらを何とかしなくてはいけない。


 体育館まで行かなくてはいけないし、そこからゾンビ現象は発症している。


 あいにく、洋平自体に力はない。


 ならば外に出た方が良いと判断したのだ。


 速度自体は元陸上部らしくとても高かいので、あまり多くなければ鈍いゾンビからは逃げられるだろう。


 運良くオークに見つかることなく、校舎の門へ着いた彼は後者を抜け出す。


 まず彼らが住む街自体の広さは大したことない。都会とも田舎ともいえない場所、そこの人口も一万人ほどである。


 彼は外へ出てすぐのコンビニの中へと入った。武器を探すためであるが、それ以前に後者を出るとゾンビの気配が薄い。


 そのため今が好機だと感じたからだろう。


 実際、全校生徒の殆どがあまり広くない場所でゾンビ化したために、ゾンビの人口密度が高かったためなのだが。


 コンビニの中は明かりがないだけで、普段とは変わりない。それも外の陽が店内に照射されるため、明かりがないことを不便とさせない。


 そのため彼がお目当てのものを見つける時間は短くて済んだ。


「こんなものか」


 彼がとったのは数点の小説と、山登りの人用の山菜ナイフ、安い包丁である。


 他はまだ冷気があることを感じて、サンドイッチなどの軽食を数点と、パン、飲料水である。


「んで多分、吸収でこれらはなんとかなるはず」


 彼自体、ラノベなどを読むのを好んでいた。その中には異世界系のものも含まれており、想像力はいくらかある方であった。


 試しに安い水を触れ、吸収と唱えてみる。


 水は彼の体内に消え、跡形もなくなった。


(成功だ!)


 試しに出そうとして、水の形を想像しながら手に力を入れると、それは現れた。


 彼の予想通りであった。


「つまりは倉庫系の能力なのか。……いや、まだ何かありそうだけど。まあ、とりあえず」


 彼は山菜ナイフを二点、腰のベルトに通し、他は全て吸収した。


 全ての吸収が終わり彼は出ようとした。


 そんな時であった。


「グギャギャ」


 RPGゲームによくいる小鬼が、受付の奥の空いた扉から現れる。


 彼はそれを聞いてナイフを構えた。


「ゴブリン……」


 緑色の体調百二十センチほどのそいつは、彼を見てまるで「餌だ」とでも言わんばかりに、醜い笑みを浮かべた。


 見るものをひどく嫌悪させる、そんな汚らしい笑みである。


 顔は人の顔に硫酸がかかったような、皺だらけの顔のため、笑みを浮かべた瞬間に、それの堀は深くなる。


 彼はナイフを突き出した。


 ゴブリンに当たりはせど、ダメージはない。ぴんぴんとなにか当たったかとばかりに、彼の周りを回っている。


 いつ攻撃しようか、そんなことを考えているのだ。今まで攻撃をしてきた人間はいないため、少し驚きはしたがダメージがないことに気付き、どうするか悩んでいたのだ。


 彼もまさかここまでダメージがないとは思ってもおらず、少し驚いた。だがそれだけだ、手がないわけではない。


 遂に攻撃を仕掛けてきたゴブリンに向かって、ナイフを突き出した。ステータスが駄目なら物理法則に頼ろう、と。


 さすがのゴブリンといえども、自身の力で速度を上げナイフに突き刺さったため、ダメージは尋常ではなかった。


 それに当たりどころも悪い。頭にぶち当たり、血には緑色の血痕を数個作り出している。


 一瞬のことで代わり映えしないコンビニの店内は、一気に物々しいものへと変わったのである。

 もちろん、ゴブリンは目を細め怒りの表情を露わにするが、そこまで多大なダメージを受けているのに元の動きを取ることはできない。


 逆に洋平はゴブリンの行動を抑えることに成功したため、次は殺せることに喜んだ。殺す方法は簡単である。傷口にもう一度ナイフを差し込めばいいだけだ。


 そしてその時は来た。


「グギャアアア!」


 そんな咆哮を上げながら彼に突っ込むゴブリン。


 そのまま流すように頭にナイフが刺さり、一瞬にしてゴブリンの命は消えてしまった。


「……うーん、とりあえずは倒せたけど。ってうおっ」


 そんな感想を述べてる最中に、拍子抜けた声をあげる洋平。


 頭の中にRPGゲームの聞きなれたアナウンスが流れたからだ。さすがにてれれれってれー、のようなものではなかったが、似たようなものである。

 擬音語で表すならてってれー、である。


 彼の視線の端のステータスは、


 ____________________

 カナクラヨウヘイ

 レベル2

 HP820

 MP110

 攻撃15

 防御15

 速度110

 スキル 貫通、吸収、??

 ____________________


 となっている。


「一応、育ちはしてる……か」


 レベルアップをした彼は少しだけ喜んだ。


 先程よりはマシなステータスに変わったからだろう。


 そんな時、彼はゴブリンの遺体も吸収しようと手に触れた。そのままにしてればすぐに腐敗するから、という理由でだ。


「えっ……なんだこの思考……」


 例えるなら倉庫とは違い、吸収するようなそんな感覚。


 そしてそんな思考が彼を襲って、興味を持った彼はその通りにしてみた。


 すると、


 ____________________

 カナクラヨウヘイ

 レベル2

 HP820

 MP110

 攻撃55

 防御55

 速度110

 スキル 貫通、吸収、??、棒術

 ____________________


 ステータスの変化が行われたのであった。


前話書き足ししました。先に見てもらえると読みやすいと思います。


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